「すごい」グッバイ、サマー Ryuyaさんの映画レビュー(感想・評価)
すごい
ミシェル・ゴンドリーの作品は一見して分かる作家性の強いものが多い。
それはテーマに関係なく、ファンタジーなのにリアル、喧嘩してるのに笑える、シリアスなのに幻想的といった、常に両極的な要素を孕んでいる。そのため、時には分かりにくいと取られることもあれば、ひねくれていると揶揄されることもある。
そういう観点で言えば、この映画は彼の作家性を理解するのに、比較的分かりやすい入り口と言える。
見た目の全く違う二人。
家庭の環境が真逆の二人。
考え方が全く違う二人。
そんな凸凹な二人が旅に出る。
思春期というアンビバレンスな時期にフォーカスを合わせることで、わかり合うのではなく、違いを認め個人として成長する。
でもただの子供の成長の話ではない。
そんな説教くさい話なんてごまんとあるが、この映画はそんな大人のノスタルジーを満たすためだけのものではない。
色んな両極性を孕んでいるが、ロードムービーにすることで始まりと終わりがあるという枠を設けて観やすくなっている。
窓口は広く、作家性も保つ。
ゴンドリーはまたすごいことをやってのけた。
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