「こんな宗教摘発事件あったっけ?」獣道 ニックルさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな宗教摘発事件あったっけ?
地方都市を舞台にしたしがない若者たちが暴発するソフトストーリー。『サウダーヂ』が記憶に新しいけども、この監督はこういう世界観の人じゃないような気がする。
宗教団体が出てくるも、それがオウムの暗喩として見せたいのか、突拍子のない設定に見えて別に良いのか判然としない。
いや、このジャンルはその都市を覆う空気感を鮮度そのままリアルに観客に届けるべきもので、オウムなのであればそのままオウムじゃないとダメなのだと思う。
台詞も方言であるべきだ。平和な日本の裏側にこんな裏側があるのだという事をなるべくドキュメントとして表現すべきで、それを嘘(芝居)にしていく事でこぼれ落ちてしまうものが確実に映画を貧しくする。台詞を話してますよというトーンで表現されるべき世界ではない。映像もこんなに照明テカテカのフィクションですというタッチでは、嘘にしか見えてこない。闇の映画らしくあるべきだ。
全編に張り巡らされた副音声ナレーションは必要なのか?誰に忖度してるんだろう。観客?
『スペアミンツ』は対極にあるフィクション性を突き詰めた傑作だった。この作品はどうだろう。
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