「POV映画の傑作」ハードコア 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
POV映画の傑作
全編が主観カメラの作品である。主人公からは自分の手と足が見えるだけで、登場人物は主人公が見ている人ということになる。この設定を観る前に頭に入れておくと、映画の世界に入っていきやすい。
最初は自分の身体の動かし方さえ戸惑うが、徐々に慣れていく。行動はどこまでも条件反射的で、オーダーに従うことと危険を回避し排除することが大半だが、映画が進むにつれて洞察力や判断力を獲得している節がある。最後には興奮した相手をなだめるような情緒的な動機まで獲得する。
見えない主人公に感情移入するのは非常に困難だが、危険や危機感はいつの間にか共有している。主人公の未来は決して明るい訳ではないが、何故か見終わってとてもスカッとする作品である。珍しい体験をさせてもらった。傑作だと思う。
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