劇場公開日 2017年2月4日

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「アナログレコードが重要アイテム」君と100回目の恋 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アナログレコードが重要アイテム

2017年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

泣ける

単純

"アナログレコード"が重要アイテムとなる映画。小道具としてのアナログプレーヤーは、2010年頃以降の映画に頻出するようになった。オジサンには"レトロ"(回顧)であるが、デジタル世代には新しい"オールドファッション"スタイル。物語の着想はここから発している。ちなみに本作に登場するレコードプレーヤーは、THORENSのTD158(¥80,000前後)である。

さらに第2のアイテムで、"チョコレート製のレコード"が登場する。食べられる12インチサイズのチョコレートで、実際に針を落とすと音が出る(約12回再生可能)。オジサンなら、1980年前後に発売されていた明治製菓の"マイレコード"チョコレートを思い出すかも(こっちは音が出ない)。これらのアイテムが映画の根幹に関わるネタバレになので、オーディオマニア方面は、ぜひ映画館で。

映画は、いわゆる"ループもの"と括られるジャンルに属するラブストーリー。"タイムリープ"を使った小説や映画・アニメには様々なバリエーションがあるが、今はちょっとしたブームである。

公開中の「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」(2017)や、社会現象となった「君の名は。」(2016)もそうだし、ここ数年では、藤原竜也主演の「僕だけがいない街」(2016)、トム・クルーズの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)、名作SF小説の映画化「プリデスティネーション」(2015)など、枚挙にいとまがない。まもなく公開される「サクラダリセット 前編/後編」(2017/3月/5月)も、"ループもの"である。SFに分類されることが多いが、実は"浦島太郎"も"タイムリープ"と捉えることができ、物語の古典手法だったりする。

本作は、比較的単純な"ループもの"だが、原作なしの新作脚本であることと、劇中楽曲が映画のために書き下ろされたオリジナルであることが、高く評価できる。

主演はアーティストのmiwa (26)と、坂口健太郎(25)。ファンをヤキモキさせる、この映画は"事務所ブッキング型"である。主演のmiwaと坂口健太郎は共にトライストーンエンターテインメント所属で、この共演が企画されたと考えられる。

トライストーンの社長は映画プロデューサーでもある山本又一朗氏で、小栗旬と綾野剛も所属する同事務所は、「クローズZERO」シリーズ(2007/2009/2014)、「新宿スワン」シリーズ(2015/2017)などもプロデュースしている。綾野剛の「新宿スワンⅡ」(2016)にいたっては、主題歌が、MAN WITH A MISSION「Dead End in Tokyo」というのも同じトライストーンくくり。似たようなくくり映画は、アミューズとかスターダストプロモーションとかLDHとか…純粋な少年少女はマーケティングの餌食である。

さて、映画2作目となるmiwaは、さすがに作曲・歌はプロフェッショナルで、彼女の音楽があってこその本作だが、芝居は前作「マエストロ!」(2015)と同様、演技というより"一本調子"、"素のまま"である。ただ可愛い。一方で、今が旬の坂口健太郎は、劇中のバンド、"The STROBOSCORP"で歌を披露するところが見どころ。歌も歌えることは俳優としての幅があって、これからが楽しみである。

(2017/2/4 /TOHOシネマズ新宿 /ビスタ)

Naguy