「ー華と茶と人の心ー 美しい、が。」花戦さ dekamoさんの映画レビュー(感想・評価)
ー華と茶と人の心ー 美しい、が。
制作陣が気になりすぎて劇場鑑賞。
主演に野村萬斎、そして、市川猿之助・中井貴一・佐々木蔵之介・佐藤浩市と続く日本映画の豪華キャスト。音楽は、久石譲!。劇中絵画は小松美羽!!。
調べると、脚本の森下佳子さんはドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』、『JIN-仁-』、『ごちそうさん』、個人的に好きな映画『包帯クラブ』などに携わってらっしゃる。存じなかったけど好きな作品を作ってた人。あとメインの華道は華道家元池坊が監修と、間違いないでしょう。
上記の面々のかかわったであろう要素は素晴らしかった。
野村萬斎の顔芸は愉快で観ていられた。心から楽しくいけてた最初と池坊を背負う立場になってから疲れていく表情がよかった。200瓶あるらしい手の込んだ華もいちいち美しい。習ってる人たちの作品と専好の作品との差は歴然。利休と何やかんやあった後の黒い背景に浮かぶような梅が美しかった。
レン・小松美羽の絵の存在感が良かった。レンが洞窟の壁に描いた蓮を背景に専好とレンが火を囲み話すシーンも美しく印象深い。
なんだか気に入らなかったシーンがいくつかある。
まず、うわっと思ったのは、専好が池から蓮の花を取るシーン。岸から盲目に花を取ろうとするあまりに池に落ちる…のはいいんだけど、落ちた映像がない。野村萬斎だろうが派手に落ちてくれればいいのに。
秀吉が民衆をさらし首にしていくシーン。観ている人のリアクションとさらし首の頭だけ移すことで説明されるが、ここ、狂った秀吉を印象付けるためにCGでも美術駆使してでも切られた首をモロ見せてよかったと思う。今時、そんなにショッキングでもないだろうし。
最後、秀吉と専好の対峙シーン。松の枝が折れ、慌てて支える専好の演技、なんだあれ。コミカルを超えて違和感が生まれてた。
さらに最後、河原に専好とレンが立つ手前を走るわざとらしい犬。わざとらしい色とりどりの花が一面に咲く。なんだあれ。予算内ならあんなことしなくていいでしょ。専好がいけた花かレン・小松美羽の絵でラストショット、ドォーンがよかった。
好きな要素が多かった分、気に入らないところが目立った。まぁ、何か作りたくなる良い映画です。