「よい意味で現代的な恋愛映画」ピーチガール knさんの映画レビュー(感想・評価)
よい意味で現代的な恋愛映画
ピーチガール、幸せな気分になれるとても素晴らしい映画でした!
正直ストーリーにはあまり期待せず行きましたし、実際特に序盤は脚本や演出の粗が目立つところもありました。しかし中盤以降の展開とキャストさん、そしてキャラクター自体の魅力はそれを補って余りあるものだったと思います。まさかこういう映画で泣くはめになるとは…
見ているときは小難しいことは考えずとも笑って泣けてキュンとできるキラキラのエンタメなんですが、ちょっと考えてみるとなかなか深い映画だと思わせるものがあります。
大変素敵だと思ったのは主人公の二人がよい意味で現代的な男女像だったことです。ももが辛いときはカイリが駆けつけ、カイリが涙するときはももが寄り添う、お互いに想い合い支え合える対等な関係なのです。
中盤に、岡安ももだ安達カイリだとお互いの名字を交換してキャッキャする台詞がさりげなくはさまれていたことに、新鮮な感動を覚えました。結婚したら男性女性どちらの苗字を名乗ってもよい、そんな「当たり前」を当たり前に描いている作品はなかなかありません。素晴らしいです。映画全体にそういった価値観がしっかり根底にあったと思います。
(二人のデートシーンはとってもかわいらしかったので、ダイジェストなのがもったいないくらいでした)
そして、
「ギャルっぽいけど超ピュア」
「チャラそうだけど真面目」
この煽り文句からもう一歩踏み込んだギャップこそが、彼らの真の魅力だと感じました。
つまり、ももは純粋で可愛いけれどとても勇敢で主体性のある女の子(自分を幸せにしてくれる人ではなく自分が幸せにしたいと思う人を選ぶ)だし、カイリは芯の通った男気のある性格だけどどこまでも優しく人を気遣える男の子。
可愛らしく凛とした山本さんとスイートなイケメン伊野尾さん、二人のルックスと演技の相性も相まって、そういったキャラクター像に説得力がありました。
90年代の人気少女漫画であった原作を現代の恋愛映画にふさわしくブラッシュアップすることに成功した作品だったと思います。よいものを見せていただきありがとうございました。