「その時にはわからない」たかが世界の終わり(2016) チャンプ23さんの映画レビュー(感想・評価)
その時にはわからない
ストーリー★☆☆☆☆→★★★★★
演出 ★★★★★
最初くそダルかった!後に…
とりあえず"実家あるある"が続きます。
何がキツイって、
とにかく顔のドアップで、会話、会話、回想、罵倒、笑顔、罵倒、回想、会話、罵倒。顔が近すぎて途中本当に気持ち悪くなったσ^_^;。
内容も何を怒っているのか、わけわからんどうでもいいのが延々と続きますσ^_^;途中から、僕は初めて映画館で座ったまま足を上げ下げして筋トレに集中する時間を設けました。
最初はほんとつまんねー映画だなーと思いました。
(ネタバレします)
しかし奥さんと一緒にずっと考えて気付きました。
主人公はゲイで、12年家に帰らなかった。"田舎町"というのもあって、受け入れられない存在。家族も同僚や仲間達にゲイネタをイジられることもあるだろう。
主人公の昔の"相方"が死んだと兄から告げられる。みんなうすうす病気のことも分かってる。
しかし主人公を否定できない。家族、愛する存在がゲイで否定なんかできるか?しかし家族の気持ちの置き所は?兄の拳の傷の意味は?自分の存在のせい?
とまではいかないにしても確実に彼等の人生に影響はあるはずだ。
最後に悟ります
自分の死なんて自分にとっては"たかが世界の終わり"なんだと
自分自身に"存在の意味"はない、しかし、他人、家族にとっては自分の存在に意味があるんだと。
残される方が厳しいということもある。
自分という存在を抱え続けて生きる家族。
最後のシーンで溢れたのは、いや、最初から溢れていたのは"愛"
良いとか悪いとかじゃなくて、自分の存在が確実にそこにあった!
最後は明るい光の中に出ていく主人公。
実際多くの人はそうだろうと思う。家族がうるさかったり、面倒くさいんだけど、それってその時は気づかないんだよ。無くす時に、離れる時に、ようやく家族という絆を認識できる。
映画館ではわからなかったが、時が経ってようやくわかった結果。怒りの意味が180度全く違うものに変わる、これ人生そのものじゃん!!
最高じゃん。となった。"実家あるある"じゃねーよ。アホか俺。
演出面
やたらと延々とドアップなんだ、ほんとスクリーンに顔だけ!
なんで全員がドアップになるのか、やっぱり12年分の感情を映画的に表現するってことですね。ドアップになることで、しゃべる人の顔以外は映らない。
"周りが見えない"ので映るのは気持ちのみ!ガツんとくる。
そしてアップによる主観的感情移入、圧迫感、切迫感をとことんやることで、彼等の身動きが取れない感じをきわめて映画的表現で観客に伝える。
なんせ12年分の想いをたった99分で魅せるわけです!!
それで僕は気持ち悪くなり、途中から筋トレを始めた。。と
考えれば考えるほど、意味のわからなかった罵倒が、中身のないような怒りが、主人公への"想いの深さ"を感じられる。
手際が良すぎてわからなかった。過去作品も絶対みる。
映画館で泣いてる人、正直バカにしたけど、お母さんからしたら、この息子愛おしいだろうな。。すいません。リテラシー足りませんでした。振り返ってようやくたどりついた。
素晴らしい作品です。
奥さん評価
点数のつけようがない。1回でわからせない。さすがフランス。アップに耐えられる役者ばっかり。