「エグッてくるね、震えが来て堪らない。」たかが世界の終わり(2016) 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
エグッてくるね、震えが来て堪らない。
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冒頭、ルイが実家へ帰る道すじ、情熱的なメロディに乗って歌が流れる。
「家は・・・、
なに?
「家は・・・、救いの港ではない。」
えええ~!
そして「ふかくえぐられた傷痕~」と続く。
もう、このあとの家族の再会が修羅場になるんだろうなという想像しかできない。
出迎えた四人の家族。会話から徐々に関係と感情が明らかになってく興奮は、まるで四段重ねのおせち料理の蓋を一枚ずつ開いていくような驚きの連続。(おせちはどうかは置いといて)
家族じゃなかったら誰かが誰かを殺しちゃうんじゃないかって緊張のまま、「食べかけなんだけど!!」って叫んでも否応なしに蓋をされた気分で終幕。
食べ足りなさと、素潜りして顔を上げた後のような呼吸の窮屈さを感じながら、胸がエグられてしまっていることだけは気づいている。
隣家の家族喧嘩を節穴から覗き見して、「え?あの子、何したの?そういえば、泣いて帰ってきたことあったわね。」と、わずかに知っている事情から類推し、当事者でもないのに勝手に想像を膨らませながら、「やだやだ、お隣さん何があったっていうのよ!」と核心のところは何も知らない。もう、そんな気分。
うすく笑いながら、「こわ、こわ、こわ」と心の中でつぶやいた。
書いてる意味が分からない?
いいんだよ、映画自体がそうなんだから。小鳥の暗示は、むしろ親切なくらいだ。
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