ネオン・デーモンのレビュー・感想・評価
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理解しがたいものがあるけれど
色彩豊かでこの監督がいかにも描きだそうとしてる色合いを見せる場面が多かった。美術に関してはとても魅力的だった。
内容に関しては無駄な場面(シーンや時間)が多いように思った。また、無駄な場面が多いことから、この映画が何を伝えたいかわからない部分がありながら見終えてしまった。
グロテスクなシーンや官能的なシーンがあり、見るに堪えられないし、理解しがたいと思う人も出てきて当然だろう。見る前は目を背けてしまうかなと思ったが、個人的には意外と耐えられた。
『ドライヴ』を超える衝撃…はないw
レフン君の映画の特徴は、映像と音楽がイカしてるところとセリフが少なめなところ。ていうのはみんな知ってると思うけど、『ドライヴ』が良かったのは、車という題材のおかげで疾走感がハンパなかったから。そのスピード感と先の特徴が完璧に化学反応を起こして伝説ができたわけだけども…
今回のはねぇ…スピード感あんまなくて長く感じた。『沈黙 サイレンス』の方がまだ短く感じる。
ゴア描写もあまりないし、そこまでグロくないし、例のエレベーターのシーンみたいな突然の衝撃もない…
まあ良かったところもある。これから見る人は「月」に注目するといいと思う。「月」が主人公にとってどういう存在で、最後はどうなるかとか。
個人的に、映画とは、ストーリーあってこその演出だと思っている。ストーリーが骨で他が肉みたいな。今回は色彩豊かな映像と音楽が先行してしまっていた。せっかく主人公と同じようなスタイリッシュな体型の映画だったのに、骨格がなかったように思う。
レフン君は『ドライヴ』の時のように、原作がある作品を撮るのが成功に繋がるんではないか。
惜しい
極彩色の悪夢にようこそ。
ドライヴ、オンリーゴッドでお馴染み
ニコラス・ウィンディング・レフン監督の最新作。
スタイリッシュな映像美は相変わらず。
静かに蔓延る狂気に、飲み込まれそうになります。
お話は意外とシンプル。
田舎町の何も知らない女の子が
一流モデルを夢見て都会へ出て来て
そこから一気にスターダムを駆け上がって行くが…
みたいな感じ。
モデル=女の世界。
そんな簡単に、周囲のモデル達は
彼女を受け入れるわけもなく
憎しみ、嫉妬に駆られていきます。
怖い!とにかく女の世界…
いや、もう女の子自体が怖いです。
レフン監督の映像美だからこそ
怖さがより助長されてる気がします。
え、そんなオチなんですか?まじっすか?と
ある種の衝撃はありました。
作中、登場人物が鏡越しに会話をしたり
とにかく鏡の前にいる事が多かったのは
登場人物の二面性を表してるのかなと思います。
これは僕の憶測ですが、そう考えると
オチがそうなるのも、なんだかわかるなぁと。
ただ、観る人をちょっと選ぶかもしれません。
レフン監督の作品は初期の北野武監督作品のような
静寂の中に、突然バイオレンス描写を挟んだりするので
この映画も例に漏れてはいません。
まあドライヴのエレベーターの乱闘に比べれば
全然ましな方かなと思いますが。
僕自身は監督のファンなので面白かったけど
映画祭なんかで賛否両論あるのはなんとなくわかりますね。笑
でも、誰もが素晴らしいというものより
賛も否もある作品の方が
綺麗な花に美しい棘があるようで、魅力的に思います。
気になる方はぜひ。
レフン監督らしい残酷な話
最初にレフン監督の新作はモデル業界の話だと知った時は「何故!?」と思ったのですが、映画を観てレフン監督が撮ったことが納得できました。
この監督は常に残酷な世界に生きる人々の映画を撮っており、これまでの映画は主人公が男性で、残酷な世界の価値基準は権力や金、肉体的な強さであったのに対し、今回は「美」という女性にとって最も残酷な価値基準における話であり、なるほどレフン監督と相性の良い題材なのだなと思いました。
映画の冒頭の首から血を流すエル・ファニング演じるジェシーは、「自然の美」とは生まれつき備わっているものでそれ以上でもそれ以下でもない、という身もふたもない残酷さ、を象徴している様に思える。
「自然な美」の象徴であるジェシーに対して、ジェナ・マローン演じるルビーはメイク係であり、そのままでは美しくはない「人工的な美」の象徴である。
「美」が絶対的な価値基準であるモデル業界における強者であるジェシーの前に多くの女性が敗北していく。
重要なのは主人公が内面を見せる瞬間はラストのプールのシーンのみで、それまでは主人公の持っている「外見上の美」のみがストーリーを進めているということ。そしてそのストーリーに説得力を持たせる映像の美しさも見事でした。
これまでのレフン作品とはまた一味違った残酷な世界をビジュアル的に見せてくれてると思います。
音楽も最高で鑑賞後、サントラをヘビロテで聴いてます笑
残念だったのは、ジェシーがモデルとしてのし上がっていくところと、ラストの残酷描写をもっと見たかったですね。
ラストの吐き出された目玉を見ているアビー・リーの唖然とした表情は最高に爆笑できました笑
あとキアヌ・リーブスはどのシーンも笑えました笑
NWRを見る
映画というよりアート作品??
想像していた作品とはだいぶ違った。 映像を観ていて 兎に角、ずっと...
「狂気」
好き。
"美"に取り憑かれた悪魔
レフン監督作品はドライヴ、オンリーゴッドのみ観賞済。
ドライヴとオンリー・ゴッドでレフン監督の色彩美と共に織り成すストーリーとそれを引き立たせるクリス・マルティネスの楽曲に惚れ込んだのと初の女性主人公や"ドライヴを超える衝撃"のキャッチコピーに興味が湧き、観賞。
ファーストカットのジェシーが血だらけのまま写真を撮られているシーンを見ただけで、1800円の価値があると思うほどの素晴らしいカットだったし、そこから美しい音と色彩に最後まで目が離せなかった。
クリス・マルティネスの楽曲も今回も鳥肌が総毛立つほど最高で、まるで怪物の体の中で少しずつ溶かされながらも、脳内麻薬は出続けていて苦痛は一切ないような、そんな危なくも心地よい感覚に襲れたし、観ながら「サントラ絶対買おう」と心に決めた。
ジェシーが中盤、変容していくシーンには恐ろしさなのか、思わず体がブルッと震え、観賞後は自分の喉にも目玉が引っ掛かっているんじゃないかと疑似嘔吐感が襲ってきた。
最初見終わった直後は、単純に"周りを魅力していく美しい悪魔"の話だと思ってしまったんだけど、よくよく思い返してみて自分が勘違いしていることに気がついた。
レフン監督がインタビューで"妻が生来持つ美しさを損なわなかったことに対して無自覚に生きていることにジェラシーを感じた"と言っていたことを思い出したからだった。
ジェシーは何も知らない幼虫からファッション界で認められ、蝶になって羽ばたくような著しい成長はしたものの、その根源は何も変わらない(良くも悪くも)純粋な天使みたいなもので、むしろその周りにいる人々が、ジェシーの美しさを妬み、遂にはそのものを食べてしまう悪魔に見えてきた。
それは美しさが持て囃されるファッション界だけに限ったことじゃなく各分野に言えることだと思うし、最初ジェシーが悪魔に見えてしまったのは同時に自分自身も悪魔側だからなんだと思う。
近年はLGBTの問題や黒人差別の問題を無くそうって言う運動があるけれど、それでもまだこういう人間としての醜い部分が拭いきれない面があるんだと嫌でも気付かされてしまう。
擬似的に嘔吐感を感じたのも、自分も誰かを妬んで悪魔達の様に才能を食らってやろう、食らってやりたいと思ったことが(無意識にでも)あったからなのかも知れない。
万人が称賛する(出来る)作品では無いけれど、自分の醜さを認められる人に対してはとても刺さる映画だし素晴らしい作品だと思う。
ネオン色の世界
色彩と音
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