ネオン・デーモンのレビュー・感想・評価
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"美"に取り憑かれた悪魔
レフン監督作品はドライヴ、オンリーゴッドのみ観賞済。
ドライヴとオンリー・ゴッドでレフン監督の色彩美と共に織り成すストーリーとそれを引き立たせるクリス・マルティネスの楽曲に惚れ込んだのと初の女性主人公や"ドライヴを超える衝撃"のキャッチコピーに興味が湧き、観賞。
ファーストカットのジェシーが血だらけのまま写真を撮られているシーンを見ただけで、1800円の価値があると思うほどの素晴らしいカットだったし、そこから美しい音と色彩に最後まで目が離せなかった。
クリス・マルティネスの楽曲も今回も鳥肌が総毛立つほど最高で、まるで怪物の体の中で少しずつ溶かされながらも、脳内麻薬は出続けていて苦痛は一切ないような、そんな危なくも心地よい感覚に襲れたし、観ながら「サントラ絶対買おう」と心に決めた。
ジェシーが中盤、変容していくシーンには恐ろしさなのか、思わず体がブルッと震え、観賞後は自分の喉にも目玉が引っ掛かっているんじゃないかと疑似嘔吐感が襲ってきた。
最初見終わった直後は、単純に"周りを魅力していく美しい悪魔"の話だと思ってしまったんだけど、よくよく思い返してみて自分が勘違いしていることに気がついた。
レフン監督がインタビューで"妻が生来持つ美しさを損なわなかったことに対して無自覚に生きていることにジェラシーを感じた"と言っていたことを思い出したからだった。
ジェシーは何も知らない幼虫からファッション界で認められ、蝶になって羽ばたくような著しい成長はしたものの、その根源は何も変わらない(良くも悪くも)純粋な天使みたいなもので、むしろその周りにいる人々が、ジェシーの美しさを妬み、遂にはそのものを食べてしまう悪魔に見えてきた。
それは美しさが持て囃されるファッション界だけに限ったことじゃなく各分野に言えることだと思うし、最初ジェシーが悪魔に見えてしまったのは同時に自分自身も悪魔側だからなんだと思う。
近年はLGBTの問題や黒人差別の問題を無くそうって言う運動があるけれど、それでもまだこういう人間としての醜い部分が拭いきれない面があるんだと嫌でも気付かされてしまう。
擬似的に嘔吐感を感じたのも、自分も誰かを妬んで悪魔達の様に才能を食らってやろう、食らってやりたいと思ったことが(無意識にでも)あったからなのかも知れない。
万人が称賛する(出来る)作品では無いけれど、自分の醜さを認められる人に対してはとても刺さる映画だし素晴らしい作品だと思う。
ネオン色の世界
ストーリー自体は真新しくないのだけど、キューブリック的な演出やネオンでキラキラした映像美に魅せられた。
Elle Fanningも可愛い。出演してるモデルがみんな可愛くて画面には退屈しなかった。
MMFRのワイブス、Abbey Leeの美しさといったら!
キラキラして毒のあるものが好きな人には合うんじゃないかと思います。
雰囲気映画っぽいけど私は好きです。
色彩と音
撮影にもクレジットのあるレフン監督が撮りたい画(主にエログロだけど、それはまた良し)を極彩色溢れる色彩と光を感じながら音楽を楽しむ。
そういった意味ではとても映画らしい映画かも。
観るのなら映画館。
うーん、エル・ファニングは可愛いのだけど、肌が映画の中で言うほど綺麗でなく、タッパもないのでトップモデルになるイメージでないのがちょっと残念。
でもドライブでのキャリー・マリガンといい、レフン監督の好みは綺麗だけどちょっと地味目が好きなのかなと納得。
やっぱら撮りたい人、撮りたい画なんだろうな。
面白くなかった。合わなかったのか。
もっともっとかっとんで良かったと思う。遠慮があったんだろうか。R18にするのは契約に反したのかと想像してしまう。
エログロ、死姦、人肉嗜食、レイプ、が苦手な人は見ない方が良い。
美意識
田舎から出てきたモデル志望の女の子が売れて行く為にって話なんだろうけど…モデルっていうのはどんどん世間と感覚がずれ、どっぷりハマって行くに従って魅力がなくなって行くもの?
映像のみせ方は綺麗かも知れないし猟奇的ではあるけれど、突拍子もない展開するし、長くて透かしたシーンが多いし、全体的にも非情に長く感じた。
意味がわからないメイクとか、笑うなっていう件は自虐も孕んだ皮肉かねぇ。
うーむ…理解不能…。
ネオンなきらびやかな映像と、とてもナイスなミュージックと効果音。が、ワンシーンワンシーンがなんかながい。引いて押してブチ切れる。ここについていけないと睡魔に襲われます。
ブラックスワンをさらに狂気にした話は面白いけど現実味がなく理解不能なシーンが多く微妙なでき。
映画館の混み具合が不思議…。
Vogueの雰囲気の火曜サスペンスw
雰囲気がよく、何系の作品かストーリーが読めない時点では、エル・ファニングの魅力もありソフィア・コッポラ的なオシャレ系な匂いがしてワクワク、このままダリオ・アルジェント的なサスペンス・ホラーな展開になって行くのかと期待していたら…
ラスト!ストーリーの方向性がはっきりして来るとともに、火曜サスペンスのような安っぽさでEND!
結果的には、ファッションフォトグラファーが実験映画を撮った様な印象が残りました。
この監督の『ドライブ』は凄く良かったのですが…
最後の最後でガッカリさせられる作品はしんどい ( ´Д`)
ネオンに浮かぶ闇
ファッションモデルを目指してLAに出てきた16歳のジェシーは、生来の美しさを認められ猛スピードでスターへの階段を駆け始めるが…。
あらゆる場面に鏡が登場する。自己への欲望を歪んで映す鏡。
先輩モデルの嫉妬。彼女達の鏡の中の自分と、他者であるジェシーに投影された自己の理想像とが主体の座を巡って激しく闘争する。だが、その空虚な場所を埋められるものなど何もない。
ぴんと張りつめた、とことん商業的な“美”の追求とそこに入り込む狂気。"Beauty isn't everything, it's the only thing."
ナルシシズム、倒錯、パラノイア、手に入らないものへの欲望が凄まじい暴力を産む。繰り返し語られてきたテーマだけれど、この幻想的な、鮮やかな光で闇を映し出す映像と音楽の表現は、エロティックで刺激的だ。
でも、良かったですよ。
深い洞察力や審美眼に溢れた皆様のレビューに触れたあとなので、ものすごく恥ずかしいのですが、正直に言いますね。
ずーっと、ダコタ・ファニングは今どうしているのだろう、持って生まれた非の打ち所のない美しさ、という意味では、彼女の方が適役だったかも(もう大人になってるから、実際には無理ですけど)、という思いが頭を離れませんでした。
で、メイクさんとの絡みやラストのあのシーンのあたりではマルホランド・ドライブとブルーベルベットがダブってしまい、頭のなかでは、リンチ的な色んな場面が錯綜していました。あ、そういえば、シャイニングの一部も飛び入り参加してたかも(REDRUMとかいう口紅の話してましたっけ⁉︎我ながらなんと短絡的(^^;;)。
そんなこんなで、おぞましさみたいな感覚は全くなく、昔行ったことのある美術館で感じるような懐かしさと温もりに近い既視感を覚えました。
不完全な美
他人から認められたければ自分以外の誰かの欲求に合わせなければいけない。真の主体ではなく、ニセの主体に翻弄され続ける。
鏡が実に象徴的だった。
男目線に影響された女の美ではなく、あくまで女の中の熾烈な美への執着心。そして理想像と自分の乖離を埋めるべく、理想の他者と一体化しようとする狂気。
あの屋敷の主人はきっと彼女たちに殺されたのだろう。理想の他者と同一化したいという欲求を共感し合った者たちに、罪悪感は生まれない。
しかし理想の他者を体内に取り込んでも、自分の主体にはなり得ない。やがて、悲惨な形で中から崩壊する。
静止した映像と音楽。絵画や写真の構図と違い、映像全体がどことなく常に不完全で、「次」を見たい欲求にかられる。
完結された美よりも、不完全な美に人は魅了されるようだ。
映像言語の真骨頂を感じた。
最近の邦画と違い、ちょっとしたセンスの良さみたいな小手先で勝負しない、監督の骨太さがハンパない。
美的感覚は十人十色。
女性の美をテーマにした映画の場合、作り手と意見が一致しなければ、悲惨のことになる。
この人とこの人どっちがきれい? とか
どっちが好き? とか、そういう質問の答えは相当主観的であって、どっちと答えてもその人にとっては正解になる。
ジェシーはトップモデルになるべく、ロサンゼルスにやってくる。彼女の類いまれな美貌に一流カメラマンやデザイナーが彼女を登用するようになる。
さて、このジェシーがエル・ファニングなのだが、類いまれな美貌の持ち主だろうか。僕のなかでは「SUPER8」(J.J.エイブラムズ監督)の彼女のイメージがだいぶ強い。大人の男がひかれるタイプではない気がする。これも僕の主観なので、むろん反対意見もあることだろう。
もっというと、ジェナ・マローンのほうが魅力的であった。
このルビー(ジェナ・マローン)が妄想しながら死体とキスするシーンでは、妄想なのだからそこはジェシーのヌードではなかったのか。
ニコラス・ウィンディング・レフン、あと一歩のところで演出が遠慮がちだったか。
共感しにくい映画であった。
NWRビジュアルに身を任せて
刺激的で美しい。官能的かつ本能的。観終わってから、後味がジワジワくる映画。
ファッション業界でトップモデルを目指す少女たちの"美"と"欲望"、"嫉妬"と"狂気"を、派手な映像美とハードコアな音楽で、目と耳を強烈に刺激する。主演のエル・ファニングの若さと美しさがあってこそ成立している。刹那の輝きを競う女の子たちの虚しさが痛々しい。映像も目をそむけたくなるほど痛い。
映画をストーリーで考える人には合わないばかりか、テーマ的には沢尻エリカの「へルタースケルター」(2012)のラインなので、デリケートな真実に目をそらしたくなる。"アンチエイジング"を許容するわりには、"ヒトは中身だよね"という二枚舌を批判しているともいえる。有機的な"美"と"醜"は同時に存在している。
メンス(Menstruation)を想像させる、"女性"と"血"の組み合わせは究極の美であり、生命の源である。そして"生"は"死"と隣り合っている。そういう根幹的な要素を表現する映像、強く刻まれるビートは胎動のようにイマジネーションを高揚させてくれる映画だ。
ニコラス・ウィンディング・レフン監督は「ドライヴ」(2012)という作品でイメージが縛られてしまう。それは観客の勝手なので、"期待はずれ"という意見は付きまとうだろう。「ドライヴ」の…という宣伝コピーもミスリードだし、カンヌの権威も邪魔している。
しかし、レフン監督の評価はそっちじゃないと思う。ミュージシャンでいうなら"プリンス"さながら、自分自身を"NWR"という記号でブランディングするくらいだから、映像作家としてのスタイルでとらえるほうが適切だと思う。作品におけるシャシン(寫眞)のトーンはスジが通っている。
エンディングに"Dedicated To Liv"のテロップが出る。レフン監督の妻らしいが、結局"オトコ"は、生命の源である"オンナ"に頭が上がらないのである。そういう動機から映像は生まれる。
(2017/1/14 /TOHOシネマズ新宿/シネスコ/字幕:風間綾平)
病気なんじゃないか
とにかく全編通して美しくあることに取り憑かれてる映画だった 登場人物もそうだけどレフン監督は完全に病気だと思う 赤と青への病的なまでのこだわりが映画全体を通して徹底的に貫かれている 血を青く撮りたいが為に作られた気さえしてくるほどの作家性爆発っぷりだった
エルファニングはこの映画同様赤と青2つの美しさを持った人間を美しく演じてて良かった
所在無さげないわゆる 処女感 全開の青エルファニングと 自分の美しさを自覚し美の頂点に君臨する赤エルファニング どちらも良かった
登場人物みんな綺麗なのになぜエルファニングだけが別格なのか その理由が終盤怒涛のグロと共に展開される持つものと持たざるものの物語に上手いこと落とし込まれてるところも好み
正直 美しいものを取れれば良し という風立ちぬの堀越二郎的な動機を映画全体を通して爆発させているので、アート映画的側面が強い その手の映画あんまり見ない自分からするとちょっと乗れない部分もあったけどなんとなく満足感はあったので見て良かった
ドライブ を期待して見るととことんハズレる可能性もあるけど…
うーん...
よくある田舎から出てきた美少女が都会ででモデルに成り上がる話だけど、正直説明不足でどこまで売れっ子モデルになったのかもわからないし(人気カメラマンに撮られた写真は雑誌に載ったのかも分からない)、皆んなから嫉妬されて綺麗綺麗と言われてるだけで????
売れっ子のはずなのにずっとボロボロのモーテルにいるのも????
時間の経過もあまり良くわかりませんでした。
いきたり売れたんでしょうか??
っていうか誰の家??
でも映像は綺麗でした。
ブレないNWR印の映画
今回もNWR印のストーリー、演出、映像が炸裂の作品でしたw。全く先が読めない展開でラストはなかなかの衝撃でした。こんな変態作品(ホメ言葉です)を撮って世に出せる数少ない監督の一人なんで、これからも追いつづけて行きたいです。
次作は日本の最強ヤクザ殺しを依頼された男の話とかなんとかw
これまた楽しみすぎる!!
満月の夜には
映像美や音楽の使い方などに関しては、もう言わずもがなのN.W.R監督最新作。賛否両論が常に付きまとうし、決して万人受けはしないであろう強い作家性の監督。
今回も決して全てが上手くいっているとは思えない作品である。
確かに先述のような良い点は勿論、瞬きのタイミングや唾を飲み込むタイミングすら計算しているかのような役者陣の演技(演出)、さらにエル・ファニングの「少女と女性の間」である「今」でしか成し得ない存在感。それは本編のファーストショットでの「ゴシックながらもゴージャスで邪悪な美しさ」からも垣間見える。
しかし、テンポが良い訳でもなく、話に整合性がある訳でもなく、中だるみすら感じてしまった作品なのに嫌いになれない所が悔しい。何度も言います。決して万人受けはしません。ただ僕は嫌いになれません。
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