「時間返してほしい」聖杯たちの騎士 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
時間返してほしい
「リビング試写会」なる機会を得て、一足早く鑑賞することが出来ました。
ひと言でいうと、「わけわかんない」映画です。
10秒ずつカットが切り替わる野心的な構成で、R&Bなどのプロモ・ビデオを延々と流しているようなカメラワーク。つまり、ストーリーはほとんど皆無で、脚本家は、耽美で退廃的な言葉を並べ立てただけのやっつけ仕事。
これこそが「クスリ」で得られるトリップ体験なのだとしたら、それを映像化したことに何の意味があるというのか。
かつて『リービングラスベガス』で、破滅的な人生を送る一発屋の脚本家を体当たりで演じ、あらゆる賞を総なめにしたニコラス・ケイジがいたが。似て非なる映画だ。ま、私はあの映画を見てひどく気分が沈みましたが・・・
キャスティングは豪華で、ケイト・ブランシェット。ナタリー・ポートマン。ジョエル・キナマン。そして語りとしてベン・キングスレーと、すごい顔ぶれ。
派手なアクションや、これといった見せ場は無く、入念な準備が必要なカットはほとんど存在しない。映画の予算のほとんどは、俳優のギャラと、撮影隊の人件費に遣われたに違いない。
事実、クレジットにあてがわれた役名は、ほとんどが本人のファーストネームで、出演する役者は、自分自身を演じている。セリフなんて、有って無いようなものなのだ。
そこに意味ありげなタロットカードや、スピリチュアルな風景をインサートしたところで、安らぎにも何にもなりはしない。
波。砂浜。空気。黒い下着。泣き崩れる不倫相手。盗るものが無い豪邸に押し入りイラつく強盗。ほとんど感情を表さないクリスチャン・ベール。
そんな断片的なシークエンスのみ印象に残りました。
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