フィッシュマンの涙 : 特集
ギョギョギョッ! 映画ファンの間で、今、フィッシュマンがキテる!
キモくてかわいくて笑って泣ける、“全く違う”社会派モンスタームービー
フィッシュマンとは何者なのか? トロント国際映画祭ほかで注目を集めた、笑って泣ける青春映画にして社会派の風合いもたっぷりなモンスタームービー「フィッシュマンの涙」が、12月17日に公開される。カンヌ、ベネチアの巨匠イ・チャンドンが製作総指揮を務め、イ・グァンスほか注目の若手俳優が名を連ねた作品が描くものとは?
いま密かに注目を浴びている「フィッシュマン」を知ってる?
なぜ!? この“いきもの”が、映画ファンの間で“バズって”るのか?
ギョロッとした目にタラコ唇、上半身がサカナで下半身が人間だって!? あなたは、いま密かに注目を浴びている魚人間=フィッシュマンを知ってる?
予告編や場面写真が公開されるや「なんだコイツは?」と話題になっているのが、このキモいのに何とも言えないイイ味を出しているキャラクター、フィッシュマン。Twitterでは、「魚男!! 面白そう!」「魚男があまりにあまりにかわいすぎて前売りを買った」「なんて、切なカワイイの!」「カエル男と見た目かぶってない?(笑)」などなど、そのインパクト大な容姿とかもし出す雰囲気が、映画ファンを中心とした人々の好奇心を刺激しているのだ。
フィッシュマンは、ごくごく普通で真面目な青年が、新薬モニターの副作用で突然変異してしまったもの。「こんな姿じゃ人生お先真っ暗……」と思っていたら、その存在がテレビに取り上げられた途端、あっという間に大注目の人気者に。雑誌の表紙にグッズ展開と、その人気はまるで国民的アイドル。ぼんやりしたサカナ顔なのに、ビールを飲んだりファンと記念撮影したり、シュールな姿から目が離せない!
「第9地区」「チャッピー」「エクス・マキナ」
本作の“真の姿”は──良質映画ファンが注目すべき《社会派モンスタームービー》
フィッシュマンの“キモかわ”ぶりが目を引く本作だが、実は、単なるキャラクター映画じゃない。ファンタジックで異質な存在を通して、社会の歪みや闇の部分を浮かび上がらせる社会派映画の側面を持った、見応えたっぷりな骨太モンスター映画でもあるのだ。
フィッシュマンになってしまった青年パク自身が、元々は就職難にあえぐフリーター。彼を密着取材してテレビ局の正社員を狙うサンウォンは地方大学の出身で、社会にはびこる学歴差別に苦しんでいる。そして、パクとのかつての一夜限りの関係をダシに「恋人がサカナの姿になってしまった」とネットに投稿してあおるジンは、孤独を抱える都会の女性の象徴に他ならない。物語は、「こんな息子に誰がした?」と賠償金目当ての父親が、社会派弁護士の力を借りて、製薬会社を相手取った裁判モードへと突入していくが、その中で、法律やメディアを駆使した汚い手段でフィッシュマンやその仲間たちをおとしめ、スキャンダルを揉み消そうとする権力者たちの姿が描かれる。
パク・クネ大統領に不正疑惑の目が向けられ、大統領本人から辞任の意向が発表された韓国だが、奇しくも本作は、そうした社会にまん延するメディア操作や隠ぺい工作を明らかにした。これまでにも、「第9地区」「チャッピー」「エクス・マキナ」など、“人間ではない存在”を通して、社会問題を浮き彫りにした作品が話題を集めてきたが、「フィッシュマンの涙」もまた、我々の社会に共通する問題を突き付ける、社会派モンスタームービーなのだ。
本作をプロデュースしたのは、カンヌ、ベネチアで数々の受賞歴を誇る巨匠
次代を担う注目監督&注目スターが集結!
トロント国際映画祭ほか世界各地の映画祭で注目を集め、本国でもヒットを決めた本作は、世界的巨匠監督が見出した注目の若手監督と、韓国の若手実力派俳優が結集した“次なる才能”が詰まった注目作だ。
「本当に独創的な作品。必ず注目を浴びる才能だ」と本作を評価したのは、トロント国際映画祭。カナダで開催される同映画祭は、アカデミー賞の前しょう戦として注目される北米最大の映画祭だが、「フィッシュマンの涙」は、技術や文化、セクシャリティや映画自体の可能性を広げた作品がセレクションされる「バンガード部門」で上映。さらには釜山映画祭、ブエノスアイレス国際映画祭、香港国際映画祭、シネマアジア映画祭、台北金馬奨映画祭でも正式出品されて、好評価を得た。
本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務めたのは、「ポエトリー アグネスの詩」でカンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞、「オアシス」でベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した韓国のイ・チャンドン監督。世界的名匠が、カンヌ国際映画祭短編部門パルムドールを受賞した「セーフ(原題)」で脚本を担当したクォン・オグァンを見出し、初監督デビューをお膳立てした形だ。コミカルな展開のなかに辛らつなテーマを織り込むクォン監督の手腕は高く評価され、本国では待機作も続々。今後が気になる俊英の登場だ。
CGに頼らず、毎回4~6時間にもおよぶ特殊メイクでフィッシュマンを演じたのは、ドラマ「トンイ」や「コンフェッション 友の告白」で注目を集めた個性派俳優イ・グァンス。「犬どろぼう完全計画」のイ・チョニが、スクープを狙いフィッシュマンと行動をともにする熱血テレビマンに扮し、キュートなヒロインとして、「私のオオカミ少年」のパク・ボヨンが名を連ねる。本国はもちろん、日本でも注目を集める若き実力派スターたちが、切ない青春模様を繰り広げているのも見逃せない。