「他人を蹴落とすことでしか自分の生き場所を確保できない残酷」ティエリー・トグルドーの憂鬱 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
他人を蹴落とすことでしか自分の生き場所を確保できない残酷
昨日のヤフーニュースは、
コンビニのレジのバイト君が、お客のレシートのポイントを自分のスマホに横流ししていて摘発された、というものだった。
不正を防止するためにレジ機能は改良されたらしい。
そのニュースを見て、
フランス映画
「ティエリー・トグルドーの憂鬱」を思い出した。
スーパーの警備員トグルドーが、レジのパートのおばさんの[レシート持ち帰り]の不正を見破って上司に報告する話。
そのパートのおばさんは追い詰められて自殺 してしまう。辛い映画だった。
警備員もパートもぎりぎりの生活だ。なんとかその職で食いつないでいる。
なけなしの、(お客が捨てた)レシートで小銭を得ていた貧しいパート店員の悲劇。
そして彼女を摘発しないと自分もやっとのことで得たその職も、そして住居さえも失なってしまう警備員・・・
集められたパート店員たちの表情が暗い。
余裕が無さすぎるこの世の現実。どうすればよいのだ。
・・・・・・・・・・・
我社でも、創業以来初のリストラがあった。
息も絶え絶えに、解雇・賃金引き下げの“脅迫”を切り抜けた頃に観た映画だ。
うちの部所だけ助かりたい。
よその部所だけにして欲しい、リストラは。
誰かがヘマしてコケてくれるのを期待する。
自分だけは助かりたい。
― 本当に僕はそう思ったんだ。
観てから今日までレビュー出来なかったのはそういう理由だったと、思い出した。
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