彼らが本気で編むときは、のレビュー・感想・評価
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受け入れるということ
トランスジェンダ―の友人がいる。
出逢った当初、男女どちらでもいそうな名前だし、スポーティな女の子なのかソッチなのか分からなかった。
普通に会話はしていたもののドッチか分からなかった。周りもそうだった。
そして他の人からソッチと聞く。
本人は慣れているのか「何でも聞いてくれ!」と明るかった。
そこからより一層打ち解けた。
トランスジェンダーが徐々に浸透しつつある。
ただ偏見はなくならない。
トランスジェンダーに限らず偏見はなくならない。
マキオがトモに姉の事を「姉ちゃんはそういう人なんだよ。」とバッサリ斬っているようで受け入れているセリフがとても印象的だった。
劇中でリンコの中学時代がある。
田中美佐子演じるリンコの母の「自分の子供への愛」がとても胸アツだった。
息子の異変に気付き、きっと葛藤はあっただろうが全てを受け入れ、一人の人間として丁寧に接する。
こんな親子で溢れていたらどんなに幸せなんだろう。
きっとこれからトランスジェンダーについて学校教育でも教えがあるだろう。
いくら子供に教育しても、親が偏見に満ち溢れていればなかなか偏見はなくならないだろう。
きっとどんなにいい世の中になっても、情報が浸透しても、偏見はなくならないだろう。
理解するのが難しい人もいるだろう。
だから、受け入れるだけでもいい。そういう人もいるんだなと受け入れよう。
そんなメッセージを受け取った気がした。
ザックリしか知らなかった設定で観たので、編む理由を知って「そういうことなのかぁ」としっくり。
涙涙でしたが、ただ涙が流れるだけではなく、笑いどころが散りばめられていたり、変にオブラートに包むことがなく、リアルだった。
癒しから母性へ。荻上監督は、明らかに変化し、成熟。
『かもめ食堂』『めがね』などで癒やし系のイメージが定着した荻上直子監督が、自ら「第二章」と位置付ける5年ぶりの新作です。本当に、第二章にはいったなぁと感じました。これまでの“たそがれる”という癒し感覚をベースに、それを発展させる形で“母性”を感じることができました。
女性の自立した生き方を独自な感覚で描き、拍手喝采された『かもめ食堂』。経済的に豊かになり、日本の外へ自由に旅立った格好いい、あの時代の女たちから、荻上直子の関心は、明らかに変化し、成熟したといえるでしょう。
本作は、まず性的転換をしたリンコに目がいきがちです。でもリンコが幸せをつかむまでの苦難を描く作品ではありませんでした。彼女自身も恋人もすでに当たり前に受け止めているという前提からすでに作品は始まっていたのです。
それより強く感じたのは、リンコが同棲相手の姪っ子トモに見せる圧倒的な母性。それが最近まで男だったとは思えない仕草だったのです。母性を感じさせるのはリンコばかりではありません。この作品には、いろいろな“母親”が登場してきます。例えば、息子の心が女性であることを受け入れ、守り抜くリンコの母。息子に同性愛の気があることを嘆き、リンコに近づけまいと拒絶するトモの同級生の母。前者は性同一性障害を受け入れた母であり、後者は受け入れることができなかった母に思えてきます。けれどもどちらの母親も子供のことで必死なんです。我が子を愛するがゆえの言動を、荻上監督は一刀両断としない視点、世の中にはいろいろな人がいるという多様性を認める監督の豊かな視点を感じられてとても好感が持てました。
母である前に女でありたいトモの母(ミムラ)。時折娘を捨て男に走るため、小学5年生のトモ(柿原りんか)は、何の前触れもなく独り置き去りにされてしまいます。そこには、トモが好きだからと、母がコンビニで買っきたおにぎりが大量に残されていました。母には、コンビニのおにぎりを食べると吐いてしまう娘の嗜好も知るよしもなかったのです。
そんなトモがいつも頼ったのが、叔父のマキオ(桐谷健太)。マキオの家に向かうとトモを温かく迎えてくれたのは、マキオの恋人で、女性への性別適合手術を受けたリンコ(生田斗真)でした。その日から3人の新しい暮らしがはじまります。
初めはリンコを不審の目で見るトモでしたが、実の母より母らしいリンコに次第になついていくのです。ふたりの心が通い合う様子に本当に心が温まりました。
けれども気まぐれなトモの母親は、いつ男に飽きて、家に帰ってくるかもしれません。でもそんないい加減な母親よりも、絶対にこのまま3人で暮らした方が幸せだと思えるような展開。
子供を産めないリンコは、正式に法律として女性と認められたら、結婚してもトモを自分の子供として引き取りたいとマキオに告げます。
表題の『彼らが本気で編むときは』の意味は、リンコが“男性”を卒業する一区切りとして、趣味の編み物であることを目指したことに由来します。そのあることとは、かつて身体についていて手術で切断したイチモツを供養するため、イチモツに似せた編み物を108個の煩悩の数だけ編み込み、焚上げて供養することだったのです。最後はリンコだけでなく、マキオもトモを協力して、何とか作品のラストに間に合わせます。だから彼らは本気で編んだのです。でもそんなことが本作のネタバレではありません。
大事なネタバレポイントは、トモに降りかかる家族の絆の問題。でも家族は簡単に選手交代ができるチームではありません。ともすれば「絆」という言葉が安直に描かれがちな作品が多い中で、その意味を深く考えさせられる結末でした。
それにしても本作で堂々と主役のトモ役を演じた柿原りんかという子役は、なんと肝の据わった子なんでしょう。母親の育児放棄にもめげない強い気性を立派に演じてくれました。あれがあったからこそ、リンコの母性を貪るかのように懐いていく過程が輝いたのでした。そして難役をさらりと演じた生田の好演も忘れがたいもの。トモを抱きしめている姿は、どこから見ても母親そのもの。そんな母性の描き方が素晴らしくて、繊細で泣けました(T^T)主演女優賞をあげたいくらいです(^^ゞ
評判通り面白かった。 理解のあるリンコの母とクラスメートの少年カイ...
評判通り面白かった。
理解のあるリンコの母とクラスメートの少年カイの母との差。
何でもゆったりと受け入れるマキオ、いい人。
子役のトモ役の子、ネグレクトの親の元、しっかりしているようで、どこか心に歪みを抱えている演技。リンコを受け入れることで、その歪みから解放され、快活になっていく様。そして 人目を気にして 学校では声をかけるなと突き放していたクラスメートのLGBTの男の子を受け入れる。素晴らしい演技だった。108の煩悩を知らずに、消費税込?のセリフは笑ったw
男か女か、二つにバッサリと分けてしまう学校教育の残酷さ。これは差別意識の温床だな。こんな社会問題がある中、教育勅語を素晴らしいとか言ってる連中のなんと愚かなことか。
リンコ役の生田斗真の演技に文句はないが、やっぱホルモン打ってないし見た目が不自然。中村中とか本物のLGBTの人を起用した方が良かったのでは?
慣れは大事
「性同一性障害」が題材。身近にそういう人がいないと、一般人はこのことに無関心で、実際に会えば最初は違和感を覚えると思う。生田斗真という男っぽい俳優を役に当てたのも、世間一般の反応を強調したかったのかもしれない。何でも慣れが大事であり、すぐにリンコの優しいしぐさや表情、声の出し方などで、心の美しさが伝わってきて、自然に受け入れることができた。
ずっと偏見や差別を受けて生きてきたリンコと、母親にネグレクトされてきたトモを中心に、彼らを取り巻く人々によって物語は展開していく。ともに心に傷を負った二人の愛情がとても美しく描かれている。最終的にトモは母親のもとに戻ってしまうが、リンコ、マキオと新しい生活に踏み出す形にしたほうがスッキリすると思った。
ラストが納得いかない!!
って、映画終わってから、ずっと考えていた。
だって、ネグレクトを繰り返す人間が、自身の母親に対して歩み寄ったぐらいで、そう簡単には変われないよ!!
トモはリンコと暮らした方が絶対いいよ!!
って思ったんだもん。
トモの母親だって、それが分かってるから、トモを手放そうとしたんじゃん!
って思ったんだけど。
トモが、あそこで、母親の手を取ったのは、リンコとの関係が出来てたから。
かもしれない。
リンコを信頼して、リンコとの絆が結べたから、トモは、ヒロミと暮らそうって思ったんじゃないかな?
あの、可哀想なヒロミと一緒にいてあげたい。って思ったんじゃないかな?
だって、トモは「どうしてお母さんはしてくれないの!?」って言えたもん。
アレは、ヒロミとトモの二人きりの時は言えなかった言葉だよね。
あの言葉を言う勇気をくれたのは、リンコとの関係だよね。
自分を愛してくれた大人がいた事がトモに勇気を与えたんだと思う。
トモがタオルを手放せたのは、リンコがいたからだ。
リンコはユーモアも持ってる、素敵な女性だ。あの発想センスは母親譲りなんじゃないかな?
ラスト、リンコからトモに送ったもの。母親から、娘への贈り物だ。
可愛くて、思わず笑ってしまって、思い出が詰まってる。
最高のラストだった。
今はそう思う。
だって、トモとリンコは間違いなく母と娘になってたもん。
その関係が、絆が、消えることはきっとない。トモの中に残り続ける。
そう信じさせてくれる。
そうゆう映像だった。
とても良かったです
私が最近見た映画の中では一番良かったです。
複雑な問題を抱えた家族(実際には家族ではない)のごく普通の家族よりも、もっと深く繋がっていく様子をゆっくりと進む日常生活の出来事を通じ、繊細に描写されています。実際にはないと思われる家族設定ですが、身近な所にこれに似た家族が当然の様にいることも十分に感じれたところが、鑑賞する人たちのたくさんの涙を誘ったところだと思います。とても素敵な映画でした。
幸せいっぱいの人が見ると理解に苦しむ映画かもしれませんので、お勧めしません。
映画館に観に行って良かった。
クスッと笑えて、ちょいちょい泣けた。とてもスッキリした気分で最後席を立てた。どの登場人物も一生懸命生きていて、どの人にも感情移入できた。自分の母親に会いたくなった。子供の頃、人と同じようにできなくて、自分でも異常かもと思ってへこたれている時に全面的に味方になってくれた母親のことを思い出した。かといって、育児放棄したヒロミの気持ちも分かる気がした。トモがカイに、「あんたのママは時々間違う」って言った言葉、いいなと思った。大人だって、母親だって、時々間違う。子供のうちにそれを理解するのは難しいけれど、それを受け入れたら、楽になるよな。
人として自分を貫く美しい生き方
すごく良い映画だった〜
育児放棄された小学生のトモが、叔父さんの家で暮らすことになるんだけど
その叔父さんと一緒に暮らしてる恋人のリンコさんは、元男性だった人
そこから、叔父さんとリンコさんとトモの疑似家族がスタートする
LGBT、育児放棄、高齢化社会などの問題を描きつつ
これからの時代の家族のあり方を描いてる
生田斗真が、その元男性だった女性のリンコさんを演じてるんだけど
もう、このリンコさんが素敵過ぎて
心は広いし、優しくて、温かい人
本当にリンコさんみたいに生きられたら良いなと思う
男性としてとか、女性としてとかを超えて、人としてどう生きるかを考えさせられる映画だった
なんか、私の中の汚れたところが浄化された気分だった
邦画だから迷ったが、見てよかった。 お弁当を勿体なくて食べられなか...
邦画だから迷ったが、見てよかった。
お弁当を勿体なくて食べられなかったところから涙が出て、ラストまで止まらない。
108の煩悩を燃やすところはとても印象的。
そしてこの監督の作品「かもめ食堂」「眼鏡」を見ていたせいか、最後の贈り物にも納得してくすっと笑ってしまった。
もう一度見たい。
優しい気持ちになれる映画
友人にもLGBTがいますし、いまやメディアでも当たり前にたくさん存在している中、
改めてセクシャリティは十人十色なんだということを知らされた映画。
そしてそれを理解して受け入れる人、受け入れられられず軽蔑、偏見のある人、それも十人十色なんだなと。
より多くの人に見て、優しい気持ちになってほしいと思いました。
生田斗真のリンコは素晴らしいと思います。私には普通に女性に見えました。この役で生田斗真を選ぶなんて誰が想像するでしょうか?しかし、しっかりと演じきったのはさすが俳優だと思いました。
視点を変えてみると、
これまでの荻上監督作品から雰囲気がガラリと変わるけれど、随所に監督らしさが散りばめられている作品だと思いました。毛糸のアレとかアレとか、あそこまで行くと面白いのか狂ってるのかよく分からないシュールな感じ。そこは荻上監督のチャーミングな所だと思います。
トランスジェンダー(T)を中心に置く事で母と子の関係性を見つめ直すという仕組みもとても良く機能していたように感じます。生田さんの見かけもあり、違和感から始まる事でより0から関係を構築しているような印象が持てました。
この作品、観る人の立場や視点によって感じる事が違うのではないでしょうか。マジョリティにとっては穏やかで暖かな作品に見えるかもしれないけれど、マイノリティにとってはより絶望を感じる作品ではないでしょうか。
社会的に女性が求められるものを手に入れようとするリンコは、あまりにも型にはまったザ・性同一性障害者像。トラブルも型にはまったような内容。しかし、あれだけ分かりやすくしないと、今の観客は付いてこれない、との判断なのかもしれません。荻上監督の過去作「トイレット」では、もっと複雑な性を持つキャラクタを登場させており、その事からも、今作はあえて観客のレベルに合わせた、確信犯的な設定なのではないかと思いました。そしてそのレベルの低さについては、おそらく多くのTが頭を抱えているはずです。
あまりリンコに焦点を置いた場面は少ないし、事件はリンコの居ない所で起こっていたりします。しかしリンコの苦悩の多くは、自分の視界に入らない所での偏見・差別行為であり、場の雰囲気でそれを察知してしまう事にあります。直接的にやられる場面もあります。いくつかの直接的な経験と場の雰囲気、それらによる今後への不安・絶望から、人によっては自ら命を絶つ十分な理由になり得ます。大してリンコは酷い目に遭っていない、という評価(印象)に対して根深いものを感じます。リンコは相当酷い目に遭っています。
本作は実はLGBTものではないと言いつつ、リアルな絶望感があり、Tについて掘り下げていないぶん普遍的。Tに限らずLGBやその他マイノリティ側の人間は作品本編とそれへのリアクションをもって、映像や物語以上に絶望を感じる事もあるかと想像します。
こんなように観た後から色々考えたり想像したりしたくなる作品でした。
一筋縄ではない
単純にトランスジェンダーの話ではない。
個人的には、日々生きていく中での生きづらさ、世知辛さに共感を覚え、涙。
人生、辛いこと、辛かったこと、何にもなかった人以外は、心に刺さる映画かと。ちょっとトゲがありますかねw
配役や音楽等は様々意見ありますが、ストーリーや人物には心打たれました。
考えさせられます。
結果、彼女は周りの人々に恵まれていて、幸せだなぁ、と感じました。
切ない。ただただ切ない。
普通じゃないということは
異常である。
ドキュメンタリーはリアルであるけれど、ここで語られる全てを網羅することはできない。映画である必要性が高いと感じました。
女性性でありたい。
母親でありたい。
親子でありたい。
家族でありたい。
煩悩と片付けてしまうのか。切ない。たたただ切ない。
生田斗真
難しい役どころだが、見事に演じていたと思います。
彼がいなければ、成立しない映画です。
性同一性障害はまだまだ一般社会では理解が得られてないところも多いと思います。
そういう意味では社会に啓発するいい映画かと。
あと、母親とはなにか考えさせられる映画でした。
教材にもなりそうな…
中高生の道徳の授業の教材にもなりそうな真正面な作品。
リアリティあるし、おちゃけた感じではない。
静かに穏やかに展開していく。
子役の子も、今の子ってこんななのかな?と思って丁度いい。いい子過ぎず。適度な生意気さ、でも、純粋なまっすぐさ。
桐谷健太の演技も、彼なりの役作りが伝わってきた。ゆっくり喋るとか。
トランスジェンダーだけの物語では無くて、等身大のリアルライフも暗くなり過ぎずに描いている。
全211件中、121~140件目を表示