「雪割草」追憶 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
雪割草
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レンタルDVDで鑑賞。
監督・降旗康男、撮影・木村大作の黄金布陣に、岡田准一をはじめとした若手演技派が集結したヒューマン・ドラマ。
ある殺人事件を通して25年ぶりに刑事、被疑者、被害者と云う立場で再会した3人の男たち。彼らは捨てたはずの過去と向き合うこととなり、人間模様が交錯しました。
北陸の風景に心惹かれてしまう。荒々しさをまとった風景に自然への畏怖を感じると云うか、「夜叉」を観た時と同じで、そこに暮らす人々の姿も相まって詩情を掻き立てられました。
それを見事に切り取る木村大作のキャメラマンぶりが素晴らしい。オープニングから魅せられました。美しい映像が物語をよりエモーショナルにし、抜群の相乗効果でした。
要所要所で象徴的に登場する雪割草。その花言葉を調べてみると、「信頼」「悲痛」「和解」「内緒」「少年時代の希望」と知り、本作のテーマがが集約されているなと思いました。
忘れようとしても忘れられない、人生において必ずつきまとうものが過去と云うなんだなぁ、と…。十字架を背負ってでも己の過去と向き合い、生きていかなくてはならない。
分厚い雪を割って顔を出す、雪割草のように逞しく…
[追悼]
2019年5月20日、降旗監督が亡くなられました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
※修正(2023/04/27)
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しゅうへいさんのコメント
2022年4月14日
近大さん。
コメントありがとうございます。
それは確かに観てみたかったですねぇ…
確実に名作になっていたと思います!
降旗監督には、本作のような日本映画の "原風景"的な作品をこれからもつくって欲しかったので、非常に残念です…