「CGは現実をこえるか。」追憶 かぴ腹さんの映画レビュー(感想・評価)
CGは現実をこえるか。
不幸の連鎖が止まらないなら格差社会に救いはない。救いがあるかないかはファンタジーではあるが。
取り返しの付かない過ちを犯した人、墓場まで持っていかなくてはいけないことを背負っている人は映画の観客の中にも少なくないだろう。現実と比べるとこの創作はぬるま湯だ。
些末なことだが登場してきたばかりの子供たちの顔が見分けられないうちに最初の事件が起きてしまった。とどめを刺したのが誰なのか分からず、他の2人が新しい家族をもって前に進んでいるのに、岡田准一だけが妻が入り込めない心の壁を作り上げるほど罪悪感を引きずっている理由が飲み込めなかった。あと不自然な画面はCGか?木村文乃のお腹は大きすぎる。あれくらいにしないと画面に映えないのか。双子でないと。
柄本佑が出てきた時点でこの人が殺されるとすぐにわかった。キャスティングとしてはハマったんだろうけど、筋が読めるのはどうかと思う。
映画というよりは原作のせいだろうが、事件の犯人がお粗末。てっきり吉岡秀隆が犯人、くらいのひねりがあるのかと思ったのだが降って湧いたように事件解決。メインの事件がただ昔の事件を掘り起こさせるための道具でしかなかったのは残念。
最後に柄本佑の殺人現場に娘と西田尚美の姉と花を手向けに行くのは疑問。
犯人の実の姉が、姪とはいえ被害者の娘の前に顔を出せるか?
そもそも安藤サクラとあのチンピラの関係は?なぜ逃げられない?吉岡秀隆はそれになぜ無力だったのか?なぜ中絶せずに木村文乃を生んだのか。チンピラに思いがあったからか?わずかでもそうなら、チンピラを殺した男に木村文乃を委ねたいだろうか?小栗旬に全部その矛盾を背負わせてあんな調和した終わりになるか?その葛藤がなければ木村文乃が安藤サクラの娘だったという落ちはただ奇をてらっただけにしか感じられない。これでは本当に十字架を背負っている観客には響かないだろう。
顔面指数高いキャスティングだったが、その割に暗い表情が多くて残念だった。木村文乃がかわいらしかったくらいだろうか。
ジャニーズのイケメン好きの連れは、終始しかめっ面の岡田准一をみてどうだったろうか。長澤まさみの美貌は必要だったのか。
死んじゃうならもっとお父さんに優しくしておけばよかった。
娘に疎まれる父親の真実が痛く刺さった。