「人間の愚かさ」愚行録 Lilyさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の愚かさ
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終始淡々と、そして暗鬱な雰囲気で物語が進み、どんどんと引き込まれていったところでアッと展開が変わって騙される。よい映画でした。エンターテイメント性もまずまずながら、これはやはり作品の風刺性というのか、込められたメッセージや意味を考えながら観る映画です。ぼーっと観ていると、終わったあとん? と思ってしまうかも。
登場人物ですが、どの方も演技が上手く、変に若手の人気俳優など起用していない点に好感を持てました。やはり特に妻夫木さんと満島さんの演技力は圧巻。妻夫木演じる主人公・田中は、ほぼ表情もなく、台詞も少ないのですが、ダークさ、心の奥底に隠し持つ闇のようなものを見事に感じさせてくれました。冒頭のバスのシーン、心底怖かったです。満島演じる光子も怖かった。心を壊した光子の、空を見ているような据わった瞳が印象的です。
個人的には、小出恵介さんがゾクッと来ましたね。普段明るい役柄ばかり拝見しているので、そのギャップで恐ろしくなりました。
物語の内容は案外わかりやすく、犯人像など序盤でほとんど検討がつきました。なので、本格ミステリーというか、謎や真相を解き明かす過程が好き、というような方はがっかりされるかも。
それにしても本当に、人間の愚かさを存分に知らせてくれる話です。出てくる人物人物、皆最低で不気味です。それでも、彼らの一人一人の姿は、必ず観ている私たちに当てはまります。私はどのタイプなのか考えてしまいました。
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