「愚行録の真理」愚行録 セキデンさんの映画レビュー(感想・評価)
愚行録の真理
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まず田中は確信犯だった。取材はあくまで表向きであり、真の目的は光子が関与している事を知る人間を消すことだった。宮村から光子が関与している一報があった時、田中は眉1つ動かなかった。光子が犯人である事を知っていたからだ。そして煙草の細工は計画的だった事を表していた。さて、この作品の最大の見せ場は冒頭と最後のバスのシ--ンである。冒頭のシ--ンは田中のスイッチが「ON」になった事、最後のシ--ンは「OFF」になった事を表している。今から愚行を極める田中、そして目的を達成した田中。更に最後のシ--ンにはもう1つの意味が隠されている。我が子が死んで安堵していたのである。これこそ究極の愚行である。光子の独白がその事に対して悲観的でなかったのは、光子も安堵していたからだ。監督はこの全く救いの無いスト--リーを何とか商業作品とするために、出来るだけ美しい映像と直接的な暴力描写をわざと無くしていた。そしてその演出を全て理解し演じていた主演の二人に心から拍手を送りたい。
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