「長編デビュー作とは思えない程の素晴らしい演出」愚行録 yurinaoさんの映画レビュー(感想・評価)
長編デビュー作とは思えない程の素晴らしい演出
出てくる登場人物の多くが、一見クズみたいなヤツだと嫌悪感しか感じないがちなところだが、この監督の演出にかかると、自分の内面の奥底にもどこかこれら登場人物と似た部分があるのではないかと振り返らせる気持ちの方が強くなり考えさせられてしまう。
映画は現代社会に潜む様々な問題に対する警告を含んでおり、見る人によって何を感じるかは観た人それぞれの観点で異なると思う。
自分から見た他人なんて、その人のほんの極一面であって、ましてや主観が入って自分の頭で捏造した人物像であり、その人の本質なんて決して捉えられていない。そんな他人像を平気でペラペラ、あたかも間違いないとばかり人に話す。この主観の捏造人物像があたりまえのように拡散、横行している、現代のネット社会へのある種の警告のようにも感じられた。
冒頭のバスのシーンの細かな演出から上手いなぁ〜っと感じる所が多々あったのですが、見終わったら、映画全編が素晴らしい演出で、これが監督の長編デビュー作品と知って本当にビックリしました。
妻夫木さんや満島さんの演技も素晴らしく、個人的には間違いなく心に刺さる傑作でした。
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