太陽の蓋のレビュー・感想・評価
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巨大で鈍重なるけもの
フィクションにしたからこそのドライな視点。いやがおうにもあの時間に戻され、進行にのりながらも重い反芻を繰り返す時間。それぞれ思うことはあるけれども、今観る一本だな、と感じました。
役者さんの熱量からも作った人達の滲む思いが垣間見えて良かったです。
3.11当時、自分が何を感じていたかをリアルに思い出すだろう
3.11から数日間における日本を、官邸を主な舞台として描いたドラマ。
社会派ものは一般に真面目すぎて退屈なものが多いが、本作は構成がよく練られており、話の起伏、展開が優れているため、2時間を超えるが退屈することは一切ない。アメリカ映画ではホワイトハウスを舞台にしたエンターテインメント映画が多いが、そのニュアンスに近い。ただし、それらのアメリカ映画とちがって、ヒーローは一人もいない。
時系列で話が進行することもあり、観るものの多くにとっては当時の自分がどうであったか、何を考えていたか、官邸発表をどのような気持ちを受け止めていたかを、当時の自分に戻ったかのように思い出すことになると思われる。
あの時は、東京ももう危ない、住めなくなるかもしれないという情報が飛び交い、多くの人が東京を離れ西日本に移動した。その時に抱いた、社会の前提となっている確固たるはずの足元がゆらいでいるような、今までに味わったこともないなんともいえない不安感、危機感を思い出した。
首相官邸と東電の迷走ぶりは、まるでコントのようだが、この両者のやりとりはほぼ事実に即しているとのことなので、事実は小説よりも奇なり、ということなのか。
反原発の人も、原発推進派の人も、左の人も、右の人も、真ん中の人も一度ぜひ見ていただきたいと思う映画である。
この映画の一番の価値は、当時の自分(の不安感、危機感)をリアルに思い出すことにあると思うから。
やられた
危機管理が恐ろしく欠けた平和国ニッポン
事実の映画化
太陽の蓋
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