いしぶみのレビュー・感想・評価
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インタビューに価値あり
山本先生の娘さんのお話が印象的。インタビューはやっぱり意義があると思った。
好みかもしれないが、語りのほうの音楽がうるさく、時代錯誤な演出に感じた。再現作品としての評価は、新たなインタビュー抜きに考えると、高くつけられないと思った。
物事を知るとは
建物疎開に動員されていた中学生がたくさん原爆で亡くなったことは、知識?として知っていたがそれがどういうことなのかが少しわかった気がする。
亡くなった元英語教師の娘さんが、父が生きていたとしても責任感の強い人だったから無理だったのでは…と言われていた。
たまたま広島中心部に行かずに生き残った人が慰霊祭に来て遺族から来てくれるなと言われた…
生き残る事の重さ、辛さを感じた。
目を閉じてしっかりと朗読に集中すると、少し怖いと感じた。
これは映画というよりも体験だと感じた。
果たして人間の本質とは。
中身の良し悪しは抜きにして、まさかの「朗読劇」だった事に度胆を抜かれた一本。
予備知識というのも、ある程度はあった方が良いという良い勉強になった。
戦後70年が過ぎた今の時代。
喉元過ぎれば熱さを忘れ、全ては他人事で、未だに噂を鵜呑みにする国民が多くを占めるこの国で。
この作品が伝えたい事は、果たして本当に伝わるのかなと観ながらずっと考えてしまった。
パンフレットにあった「被爆者と一括りにしないで」という言葉が胸に刺さった作品。
「まだ来なくていいよ」
12才の子がどんな心情でこう言ったのか
アメリカ憎し
原爆の実験台にされた日本人
もう日本は負けていたのに
木箱は棺桶か
綾瀬はるかの殺気
しかし舞台裏も見せる是枝監督の
ユーモア
観て良かった
早くに負けを受け入れてさえいれば、むざむざ落とすことのなかった若き命たち。
映像はほぼ、綾瀬はるかの朗読。途中、池上彰による少しの現地取材をはさむ。再現ドラマも過去映像もなし。演出は、場面にあわせて並び替えられた木箱のみ。ときに破壊された街であり、ときに逃げ込んだ川であり。
そんな木箱が並べられたスタジオ内で淡々と日記を読む綾瀬はるかの姿は、感情を抑えたがゆえに、その分かえって凄惨な場面を想像させられた。これは監督の意図するところなのだろう。
日記の主、もしくは日記の対象者である広島第二中学の生徒の顔写真が、綾瀬の朗読にあわせて木箱に投影される。時には、写真がないのか名前だけの時もある。写真さえも残されずに地上から消えていってしまった子供とは、どれほど悲しいものだろう。
映画にしなくても、TVのドキュメンタリー番組でも十分なクオリティであるとも思えるが、映画館の薄暗く閉鎖された空間でこそ味わえる感情があったことは事実。
原爆投下の日8月6日にあわせて「黒い雨」を読みながら鑑賞してきたせいもあり、わずかながらも追体験に似た感情が芽生えた。
つらい映画
どんなレビューを書くか、とても迷った。
ただ、眠気に負けたという一通の感想じゃあまりに悲しい。
まとまってないが、書かなくてはと思って書く。
ポレポレ座で見たのだが、その後、是枝監督の質疑応答があった。
だれも質問しないものだから、僕が手をあげた。
「とても胸にしみた映画でした。なぜ、こういう映画を作ろうと思ったのですか」とシンプルな質問をした。
「この映画は広島テレビで、杉村春子さんでやったものなんです。そのリメークを依頼されて、作ったものです」
「語り手は杉村さんが母親として語っている。今度は綾瀬さんが先生として伝えるというアレンジをしています」
「それから、当初は原爆を落とした側の日常を描いてみようと思ってました。ところが、中学生は全員死んだのではなく、何らかの理由で登校せずに生き残った人もいることがわかった。視点を変えてその生き残った人に焦点を当てることにしました」
本当に誠実に答えてくれた。
この映画を作った大きな理由が、これは過去の話としてとらえるのではなく、いまも起こりうることなんだということ。
特にきな臭いにおいのする昨今だから。
生き残った人(当時中学生も84歳になっている)の言葉
「死んだ彼らの分までしっかりと生きなければ」とインタビューで答えたのだけど、それがあまりにも立派すぎたとあとで恥じた。だけど、ひとつの判断基準として、そのことはず~と私の中に、私の人生に息づいていたのも事実だ。
よくも悪くも、とても重い経験だったのだろう。僕たちももっと想像力を駆使して考えなければいけないことがたくさんあると思う。
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