美しい星のレビュー・感想・評価
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橋本愛の「正しい美しさ」という圧倒的な強さ
原作未読です。 最終的になぜ覚醒したのか、覚醒した目的や意味は最後まで明らかになる事はないのですが考えるな、感じろ!系で最後まで展開が予測出来ず、混乱しつつも飽きさせませんでした。 他にもバンドマンの男の正体は父親や周囲の人間が語った通りの人間だったとして、 佐々木蔵之介は結局地球人だったのか?何が目的だったのか?等疑問が残りました。 全体的に分かり易い話ではないですが、とにかく全編に渡って橋本愛が過去最高では、というレベルで美しく撮られています。出演シーンで美しくない橋本愛は居ません。それだけでも観る価値はあると思います。 暁子は並外れた美しさのあまり周囲から浮いている(覚醒後は抑え込んでいたものが解き放たれてより異質な存在感を放っています)という設定なので、他の女優さんではこれ程の説得力は生まれなかっただろうと感じました。
ぼくも宇宙人
原作が三島由紀夫の同名作(昭和37年)。吉田監督が純文学作家の看板を借用して、芸術志向へシフト・チェンジかと疑っていました。ごめんなさい。 三島の諸作品の中でも、『美しい星』はSF的な趣向が目立つ以外、極めて調子が低い作品ではないか?と考えていたもので、あまり期待はしていませんでしたが。 自らが火星人であることに覚醒する大杉重一郎(=リリー・フランキー)、妻・伊余子(=中島朋子)、長男・一雄(=亀梨和也)、長女・暁子(=橋本愛)らの演技が見もの。父親が火星人として振る舞うことをよそに、一雄は水星人、暁子は金星人として目覚めていく様が仕方ないなあ、と自然に感得されます。 伊余子も地球人として“水ビジネス”に勤しみ、一家はよくいる変な人たちです。宇宙人であると自覚したからといって、特に超能力や特殊能力が使える訳ではなさそうなところがポイントです。現実は変わらない。変えられない……だからと言って、今の現実を貴方たちは受け容れられるのか? 重一郎は問いかけます。 原作の発表時、三島が俎上に上げたのは核兵器の問題でした。吉田作品では、「地球温暖化」問題が執拗に取り上げられているのですが、原作の流れや本来の問題提起から行けば、「原発再稼働」などを持ってくるべきかな? 脚本もその方がスムーズに書き換えられ、アップデートも容易だったはずと愚考するのですが、映画産業自体の在り方からして(政治的にナイーヴ過ぎ、スポンサーが皆、下りてしまうだろうと)無理な状況もわかります。 そんな逃げ場の無い閉塞的な状況下、重一郎は吠え、大杉家は奔走します。 おかしな言動を繰り返す人たちを見て、「おかしい」と切り捨てるのは簡単です。ただ、すべての言説が既成の枠組みの中に取り込まれ、呑み込まれてしまう時代、敢えて、奇矯な立ち居振る舞いに至ってしまうことでしか、訴えられないことがあるのではないか? 火星人のけったいなポーズに失笑した後、そのポーズで何を指し示したかったのか、一瞬でも、思いを馳せてあげられればと思いました。 映画は唯の映画(小説だって唯の小説)。単なる作品として、ああだ、こうだと批評は自由。ただ、作り手が相手に対して、本気で何かを伝えたくなった時は、作品の受け取られ方なんかどうだっていい、貴方たちの生き方はそれでいいのか?と絡んでしまうのでは? 商品(サービス)として受け取れ!というのではなく、単に考えるヒントであれば十分だから、一人ひとりに真剣に考えてもらいたいと願ったのではないでしょうか。 映画作品としての質云々もありますが、今回は監督の“志”に打たれたような気がします。正直、観る前から舐めてかかっていたので、泣きそうになっていたぼく自身に驚きました。 ラストの特撮はセンス・オブ・ワンダー。一人の地球人としての自分の生き様に対し、宇宙のどこか遠くの果てから眺めて見た時、ぼくらはそれを肯定できるでしょうか? SFが或る種の科学的前提に基づく思考実験であるように、映画『美しい星』は一宇宙人としての視野に立った上で(地球人だって宇宙人の一種です)、観客の生き方を問い直す127分の実験です。
文学がエンタメへと昇華
遠い昔、原作を読んだという記憶はある。内容はほとんど覚えていない。三島由紀夫のSFという若者の好奇心は見事に砕かれ、難しくてモヤモヤした結末という印象だけが残された。故に、原作とこの映画における単純な比較などできるわけないけれど、明かな相違というものを感じるわけで、それは漠然とながらも確信的にさえ思ってしまったほど。 何よりも、この映画は全く小難しいものではなく、笑いと感動に包まれたエンターテイメントだということ。橋本愛や亀梨和也に萌えて、リリー・フランキーに笑い、中嶋朋子をはじめ実力者の演技を安心して堪能し泣き笑いする。それら要素は、小説にはほとんど感じなかったはず…何度も言うが小説の内容はほとんど覚えていない…。非常にシンプルで分かりやすい映画で、だからこそ何か訴えかけてくるものを感じとることができた。 原作の内容をもっと深く理解できたならばこの映画で感じた以上の何かを感じたのかもしれないが、如何せんSFの物語というものを強く求めすぎた若僧には、三島由紀夫の意図など理解できるものではなかった。 この映画もSFというジャンルとは縁遠いかもしれないけれど、SFを求めて見にいってもそれなりに受け入れることができるのかもしれない。 楽しい映画に昇華され、それを十分に堪能できたわけだし、自分も少しだけ成長しているわけだから少しは三島由紀夫の主張を感じ取れるかもしれないと、本棚の奥から背表紙が色褪せた文庫本をなんとか探し当てたわけだし、今度はこの『著者の抱く人類の運命に関する洞察と痛烈な現代批判に充ちた異色の思想小説』とじっくりと向き合いたい。 半分レビューになっていなかった…
キャストが良い
私は嫌いじゃない。 色々意味不明なところもあるにせよ、 メッセージ性もあり、 ところどころ笑えもする。 キャストの演技が上手いので意味不明でも まとまってみえる。 原作未読なので、原作を読んでもう一度観たい。
シュールだわ^^;;;
主演リリー・フランキー 数年前だれが予想してか!?って感じですが、スッとぼけた役から狂気まで、熟練のバイプレイヤー俳優さんとは、一線を画する活躍ですね。 今回も序盤のベットシーンから宇宙人に覚醒してからの言動・・・笑えます。 家族なのに、火星人・水星人・金星人と覚醒する父・息子・娘ですが、地球人の母親を演じる中島さんの行動と表情が、妙にリアルで素晴らしい!! 親父だけなら病気から来る幻覚!?と思えるものの息子と娘が絡んで来るし、ある意味、実は一番酷い目にあってる娘が不憫><; しかし橋本愛ちゃんは、無表情で笑わない美人を演じさせたら同世代最強かも!? 家族が変わっていく過程は、なんとなく理解出来ますが、蔵之介さんが超謎!?で、一番怪しく・・・・ ウルトラQやウルトラセブンに出て来た地球人に化けた宇宙人のようでした〜笑 最後のシーンをどう受け止めるのか!?チョッとチープで残念でした〜☆3.4
橋本愛綺麗〜‼︎ 2時間7分... ちょっと長いなぁ... 佐々木...
橋本愛綺麗〜‼︎ 2時間7分... ちょっと長いなぁ... 佐々木蔵之介との絡みが 微妙だったな もっと宇宙戦争みたいになれば‼︎ って なる訳無いか... 私は何処の星だろう? 覚醒しないから 地球人なんだろなっ(笑)
自然と不自然
これの前日にメッセージを観てたのが素晴らしい相乗効果で攻めてきて、多少冗長に感じかねない、舞台演劇っぽい作りにもスムーズに入り込めました。 色々と人の持つ気持ち悪さを見せられた後に、というかそんななかでの「えっ?宇宙人!?」なお話。リアルと非リアルが上手く共存して、自らを地球視点では非リアルな存在としてしまった、人間なる生き物とその観察者。存外に主観と俯瞰の怖さを再確認したような気にもなりました。あのポーズと共にじわーっと染み込んでいきます。
原作以外は素晴らしい
原作以外が素晴らしい出来、と言ったら失礼かもしれないけど、配役、キャスト、スタッフワーク、素晴らしいのではないか。特に橋本愛をこれだけ美しく収めてるって、そりゃそうか。 ローリング、ディアスポリスでも最高だった音楽の渡邊琢磨も案の定、ビタッとはまっていた。 「美しい星」が今映画化される意味、というか面白味はほとんどない中(だって今これ小説で書かれてもそれほど話題にはならない、というほど他の作品に取り込まれているから)、吉田大八監督にはせっかくなので、別の企画をやっていただきたい。 それでも、まったくヒットする可能性もないのにこれだけしっかりした作品を残せるのが吉田大八監督の価値かも。
核から温暖化へ
三島由紀夫の水爆問題を謳ったSF作品を現代風に地球温暖化へ置き換えて書いた作品で、ある日自分達が宇宙人だと気付く4人家族の話。 父親は火星人、長男は水星人、長女は金星人、母親は地球人の設定。(原作を読んだのは遥か昔の子供の頃でよく覚えていなが母親は木星人だった気がしたけど) 本当に宇宙人なのか、それとも妄想か、マジメなのかふざけているのか、何が本当で何が嘘か判別し難い狐につままれた様なシュールなストーリーと描写に所々笑いつつも現実社会にもこんなのいるし、温暖化に関してとか騒いで踊らされているよなとか怖さとアホらしさも感じる。 因みにわかりやすい描写でいうと、水の結晶は氷だからね。
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