美しい星のレビュー・感想・評価
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文学がエンタメへと昇華
遠い昔、原作を読んだという記憶はある。内容はほとんど覚えていない。三島由紀夫のSFという若者の好奇心は見事に砕かれ、難しくてモヤモヤした結末という印象だけが残された。故に、原作とこの映画における単純な比較などできるわけないけれど、明かな相違というものを感じるわけで、それは漠然とながらも確信的にさえ思ってしまったほど。
何よりも、この映画は全く小難しいものではなく、笑いと感動に包まれたエンターテイメントだということ。橋本愛や亀梨和也に萌えて、リリー・フランキーに笑い、中嶋朋子をはじめ実力者の演技を安心して堪能し泣き笑いする。それら要素は、小説にはほとんど感じなかったはず…何度も言うが小説の内容はほとんど覚えていない…。非常にシンプルで分かりやすい映画で、だからこそ何か訴えかけてくるものを感じとることができた。
原作の内容をもっと深く理解できたならばこの映画で感じた以上の何かを感じたのかもしれないが、如何せんSFの物語というものを強く求めすぎた若僧には、三島由紀夫の意図など理解できるものではなかった。
この映画もSFというジャンルとは縁遠いかもしれないけれど、SFを求めて見にいってもそれなりに受け入れることができるのかもしれない。
楽しい映画に昇華され、それを十分に堪能できたわけだし、自分も少しだけ成長しているわけだから少しは三島由紀夫の主張を感じ取れるかもしれないと、本棚の奥から背表紙が色褪せた文庫本をなんとか探し当てたわけだし、今度はこの『著者の抱く人類の運命に関する洞察と痛烈な現代批判に充ちた異色の思想小説』とじっくりと向き合いたい。
半分レビューになっていなかった…
やはりこれも
震災によって変化(覚醒)したはずの日本人のリアリティについての映画でした。
(震災の要素はラストだけでなく、その前から出てますね)
冒頭で描かれた家族と、ラストシーンの家族の様相の違い、ここに注目すれば、そんなに難解な映画ではありません。
三島の美意識と宇宙観
それぞれの宇宙の魂が地球人として使命を果たそうとするSFファンタジー。
小説チックに描くと、このようなスローテンポな映画に仕上がるのだろうか。オカルト的な怪しさに笑えるシーンもあるが、全体の輪郭がぼやけ、2時間がやや退屈に感じる。
温暖化による地球壊滅を訴える火星人
人間の浅はかな知能を蔑む水星人
地球の美意識に物申す金星人
虚像の水に騙され続ける地球人
水星人はルソーの自然に帰れ的思想で、人間を滅ぼそうとするが、火星人は地球人に危機感を持たせ、現状を変えようと奔走する。金星人は美のメッセンジャーとして地球人に神聖な美の概念を植え込み、地球にそれぞれが影響を与えている構図になっている。
地球外生命体から見ても、地球に存在する自然(人間は含まない)は美しいものであり、「美しい星」であるがゆえに、救う価値があるのだろう。
宇宙人たちもそれぞれの「美の概念」に則って地球存亡を考えるという、不思議な共通点を持っているようだ。「美」には破壊を押しとどめる抑止力があるのだと感じさせられる作品になっている。やはり人間は自然に帰るべきか。
これは観た後に、物思いにふけったり、妄想を膨らませたりするのが楽しくなるストーリーだ。退屈で、よく分からずに終わってしまうように見えて、深いメッセージが隠されているような映画。
キャストが良い
私は嫌いじゃない。
色々意味不明なところもあるにせよ、
メッセージ性もあり、
ところどころ笑えもする。
キャストの演技が上手いので意味不明でも
まとまってみえる。
原作未読なので、原作を読んでもう一度観たい。
シュールだわ^^;;;
主演リリー・フランキー
数年前だれが予想してか!?って感じですが、スッとぼけた役から狂気まで、熟練のバイプレイヤー俳優さんとは、一線を画する活躍ですね。
今回も序盤のベットシーンから宇宙人に覚醒してからの言動・・・笑えます。
家族なのに、火星人・水星人・金星人と覚醒する父・息子・娘ですが、地球人の母親を演じる中島さんの行動と表情が、妙にリアルで素晴らしい!!
親父だけなら病気から来る幻覚!?と思えるものの息子と娘が絡んで来るし、ある意味、実は一番酷い目にあってる娘が不憫><;
しかし橋本愛ちゃんは、無表情で笑わない美人を演じさせたら同世代最強かも!?
家族が変わっていく過程は、なんとなく理解出来ますが、蔵之介さんが超謎!?で、一番怪しく・・・・
ウルトラQやウルトラセブンに出て来た地球人に化けた宇宙人のようでした〜笑
最後のシーンをどう受け止めるのか!?チョッとチープで残念でした〜☆3.4
橋本愛綺麗〜‼︎ 2時間7分... ちょっと長いなぁ... 佐々木...
橋本愛綺麗〜‼︎
2時間7分...
ちょっと長いなぁ...
佐々木蔵之介との絡みが
微妙だったな
もっと宇宙戦争みたいになれば‼︎
って
なる訳無いか...
私は何処の星だろう?
覚醒しないから
地球人なんだろなっ(笑)
蛍は地球人、サン・ラは土星人
あの三島由紀夫原作のSF作品ということなのだが、それよりもヒューマンドラマの、啓発要素が強いイメージを持った。
確かに主人公家族のそれぞれはまるで何かに取憑かれた様にアイデンティティに目覚め、その目的に邁進していく。その内容は傍からは迷惑かもしれないし、犯罪に加担しているかもしれない。ましてや奇行が目立てばパージされていくのが世の常。それでも強烈な超常現象(啓示と自分で信じて疑わない)に遭遇すれば、人は生きる疑問にはっきりと解答を得られ、そのカタルシスに狂酔するのかもしれない、ある意味羨ましい内容だ。観客側からの視点でも、本当はわざと演じている、又は自覚しているのかはっきり分からない中でのストーリー展開は、結局ラストシーン迄、劇中音楽のEDMの疾走感と、シンクロする細かいカット割りの中で、引っ張られ、引きずり込まれる。
今作品のクライマックスは、議員秘書の佐々木蔵之介と主人公、リリーフランキーの激論を闘わすシーンであることは間違いない。なのだが、その迫力と、お互いを論破せんが為のあらゆる言葉に、人間の哲学への飽くなき知的欲求を垣間見ることができると思うのだが、大した頭脳もない自分には、記憶するには余りにも速すぎる台詞回しで、憶えられなかった・・・どこかで聴いたような問答集なのだろうけど・・・
唯、そんな中での疑問点は、果たして今作品の配役はこれで良かったのだろうかという点である。リリーフランキーと中嶋朋子の夫婦役もしっくりいかなければ、子供も、橋本愛とジャニーズ亀梨。どうもしっくり来ないのは、やはりそれぞれが個性が強すぎてバックボーンが透けて見えてしまうせいなのか、余計な情報がチラチラしてしまうのが、“玉に傷“である。
ただ、橋本愛の不思議ちゃん演技、リリーフランキーの決めポーズは、何度観ても思わず笑ってしまうブレイクシーンである。
非常に不思議で、色々なテーマを内包した今作品、しかしラストはきっちりSFというジャンルを語ることは間違っていないのだということを思い知らされた。佐々木蔵之介のまばたき無しの演技の異様さも、付け加えておこう。
自然と不自然
これの前日にメッセージを観てたのが素晴らしい相乗効果で攻めてきて、多少冗長に感じかねない、舞台演劇っぽい作りにもスムーズに入り込めました。
色々と人の持つ気持ち悪さを見せられた後に、というかそんななかでの「えっ?宇宙人!?」なお話。リアルと非リアルが上手く共存して、自らを地球視点では非リアルな存在としてしまった、人間なる生き物とその観察者。存外に主観と俯瞰の怖さを再確認したような気にもなりました。あのポーズと共にじわーっと染み込んでいきます。
原作以外は素晴らしい
原作以外が素晴らしい出来、と言ったら失礼かもしれないけど、配役、キャスト、スタッフワーク、素晴らしいのではないか。特に橋本愛をこれだけ美しく収めてるって、そりゃそうか。
ローリング、ディアスポリスでも最高だった音楽の渡邊琢磨も案の定、ビタッとはまっていた。
「美しい星」が今映画化される意味、というか面白味はほとんどない中(だって今これ小説で書かれてもそれほど話題にはならない、というほど他の作品に取り込まれているから)、吉田大八監督にはせっかくなので、別の企画をやっていただきたい。
それでも、まったくヒットする可能性もないのにこれだけしっかりした作品を残せるのが吉田大八監督の価値かも。
核から温暖化へ
三島由紀夫の水爆問題を謳ったSF作品を現代風に地球温暖化へ置き換えて書いた作品で、ある日自分達が宇宙人だと気付く4人家族の話。
父親は火星人、長男は水星人、長女は金星人、母親は地球人の設定。(原作を読んだのは遥か昔の子供の頃でよく覚えていなが母親は木星人だった気がしたけど)
本当に宇宙人なのか、それとも妄想か、マジメなのかふざけているのか、何が本当で何が嘘か判別し難い狐につままれた様なシュールなストーリーと描写に所々笑いつつも現実社会にもこんなのいるし、温暖化に関してとか騒いで踊らされているよなとか怖さとアホらしさも感じる。
因みにわかりやすい描写でいうと、水の結晶は氷だからね。
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