劇場公開日 2017年5月26日

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「ヘンテコが地球を家族を救う!?」美しい星 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ヘンテコが地球を家族を救う!?

2018年1月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

知的

シュールって言葉があるが、シュールな映画を見た(笑)
三島由紀夫自ら“ヘンテコ”と称した小説の映画化。確かにヘンテコ!
印象的な作品多い吉田大八監督作の中でも、格別異色作!

助手の女の子と不倫してるお天気キャスターの父。
明らかに胡散臭いミネラル・ウォーター販売にハマる母。
メッセンジャーのフリーターの息子。
女子大生の娘。
よくある“一見裕福そうだが、崩壊寸前”の家族。
そんな家族の絆再び…って話じゃない。
だって、各々宇宙人に覚醒するんだから!

父は火星人、息子は水星人、娘は金星人。とあるきっかけで覚醒!
父はお天気の生放送の場で地球の環境問題について警告する。太陽系連合の一員!
娘はとあるストリート・ミュージシャンと出会い、彼も金星人、彼の子…つまり、金星人の子供を妊娠する。
息子はひょんな事から議員の仕事を手伝う事になるが、その秘書も宇宙人…?
社会生活でも、家族の中でも、周囲を巻き込んで大騒動!
でも、母だけは地球人。何故か地球人。

火星人の父・リリー・フランキー、地球人の母・中嶋朋子、水星人の息子・亀梨和也、金星人の娘・橋本愛。
普段から何処となく地球人離れしてるリリーが火星人を好演。あの“火星人ポーズ”はツボに入った(笑)
橋本愛は金星人になってもやっぱ可愛い。奇妙な金星人ポーズは萌えちゃうやろ!
議員の秘書で宇宙人…? 佐々木蔵之介も独特の存在感を放つ。

彼らは本当に宇宙人か…?
それとも、ただの思い込みか、妄想か…?
明確にしてるのではなく、見る側に解釈を委ねてるのが面白い。
地球温暖化。環境問題。
それは誰の責任か、これからの子供たちはその責任を背負ったまま生きなければならないのか。
訴えるだけの輩。今、行動を起こさなければ意味が無い。
この“美しい星”を、救うには…?
地球の危機。家族の危機。
…などなど、一応メッセージ性も勿論込められ、哲学的でもあるが、やはりこのシュールな作風に魅せられる。
皆大真面目にやってるんだけど、何故か笑えてくる。最後は凄みを感じる。
どういうオチになるか最後まで飽きず、シュールな作風を普遍的な家族ドラマとして収束させ、何とも言えぬ不思議な余韻で締め括る。
本当に何だか、不思議と気に入ってしまった。

これは、メッセージのある社会派映画である。SF映画である。コメディである。静かな感動呼ぶ家族の物語である。

しかし、本当に宇宙人に覚醒した地球人って居るのかな…?
映画では居たね。
1964年、金星の超高度文明を一夜にして滅ぼした宇宙超怪獣の襲来を予言した金星人が。
「わたくしは、金星人…」

近大