劇場公開日 2017年5月26日

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「文学がエンタメへと昇華」美しい星 SHさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5文学がエンタメへと昇華

2017年6月1日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

遠い昔、原作を読んだという記憶はある。内容はほとんど覚えていない。三島由紀夫のSFという若者の好奇心は見事に砕かれ、難しくてモヤモヤした結末という印象だけが残された。故に、原作とこの映画における単純な比較などできるわけないけれど、明かな相違というものを感じるわけで、それは漠然とながらも確信的にさえ思ってしまったほど。
何よりも、この映画は全く小難しいものではなく、笑いと感動に包まれたエンターテイメントだということ。橋本愛や亀梨和也に萌えて、リリー・フランキーに笑い、中嶋朋子をはじめ実力者の演技を安心して堪能し泣き笑いする。それら要素は、小説にはほとんど感じなかったはず…何度も言うが小説の内容はほとんど覚えていない…。非常にシンプルで分かりやすい映画で、だからこそ何か訴えかけてくるものを感じとることができた。
原作の内容をもっと深く理解できたならばこの映画で感じた以上の何かを感じたのかもしれないが、如何せんSFの物語というものを強く求めすぎた若僧には、三島由紀夫の意図など理解できるものではなかった。
この映画もSFというジャンルとは縁遠いかもしれないけれど、SFを求めて見にいってもそれなりに受け入れることができるのかもしれない。
楽しい映画に昇華され、それを十分に堪能できたわけだし、自分も少しだけ成長しているわけだから少しは三島由紀夫の主張を感じ取れるかもしれないと、本棚の奥から背表紙が色褪せた文庫本をなんとか探し当てたわけだし、今度はこの『著者の抱く人類の運命に関する洞察と痛烈な現代批判に充ちた異色の思想小説』とじっくりと向き合いたい。
半分レビューになっていなかった…

SH