「三島の美意識と宇宙観」美しい星 TOKIESさんの映画レビュー(感想・評価)
三島の美意識と宇宙観
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それぞれの宇宙の魂が地球人として使命を果たそうとするSFファンタジー。
小説チックに描くと、このようなスローテンポな映画に仕上がるのだろうか。オカルト的な怪しさに笑えるシーンもあるが、全体の輪郭がぼやけ、2時間がやや退屈に感じる。
温暖化による地球壊滅を訴える火星人
人間の浅はかな知能を蔑む水星人
地球の美意識に物申す金星人
虚像の水に騙され続ける地球人
水星人はルソーの自然に帰れ的思想で、人間を滅ぼそうとするが、火星人は地球人に危機感を持たせ、現状を変えようと奔走する。金星人は美のメッセンジャーとして地球人に神聖な美の概念を植え込み、地球にそれぞれが影響を与えている構図になっている。
地球外生命体から見ても、地球に存在する自然(人間は含まない)は美しいものであり、「美しい星」であるがゆえに、救う価値があるのだろう。
宇宙人たちもそれぞれの「美の概念」に則って地球存亡を考えるという、不思議な共通点を持っているようだ。「美」には破壊を押しとどめる抑止力があるのだと感じさせられる作品になっている。やはり人間は自然に帰るべきか。
これは観た後に、物思いにふけったり、妄想を膨らませたりするのが楽しくなるストーリーだ。退屈で、よく分からずに終わってしまうように見えて、深いメッセージが隠されているような映画。
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