「エディのような人が世の中を変えていく」イーグル・ジャンプ SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
エディのような人が世の中を変えていく
居眠りしてて起きた時テレビつけたらたまたまやってて、軽く見始めたらいつのまにか夢中になって観ていた。幸運な偶然だ。
ただオリンピックに出たいという情熱だけで、才能もお金もコネも、トレーニングの経験さえもない運動音痴の素人がオリンピックに出場してしまったという嘘みたいな実話。
この映画には本当に勇気づけられたし、自分を反省する機会にもなった。
人生において大切なのは、他人からの評価とか、体裁のいい肩書きだとか、合理性だとか、計画性だとか、現実性だとか、そんなんじゃない。
ただただ、これがやりたい、これが面白い、これが楽しい、これが自分だ、と思える何かを貫き通す、ということなんだろうと思う。
主人公のエディは、母親以外のほとんど全員から、お前はおかしい、お前はまちがってる、と言われ続け、馬鹿にされ、ときにひどい妨害を受け、それでも自分の「やりたい」を徹底的に貫いた。
そんなエディの姿に、周囲も影響され変わっていく。
もし現実にエディのような人間がいたら大迷惑だろう。僕が友人だとしても絶対に反対するだろうと思う。馬鹿にしてしまうかも知れない。
でも世の中を本当に変えていくことができるのは、そんな大迷惑をかける人間なのかもしれない。そしてそんな人は合理性と現実性でだんだんつまらなくなっていくこの世の中を少し楽しくさせてくれる人なんだろう。
スポーツの何が人を感動させるかといえば、そこに人生の縮図があるからではないか。
勝利よりも参加することに意義がある、成功することではなく、努力することが重要である、という近代オリンピックの精神がこの映画にはこめられていると思った。
本当に自分が価値があると信じられるもの、正しいと思うことを、誰からの理解も得られずに貫いて努力し続けるのは、本当につらいことだと思う。世間的な価値観に合わせて自分をごまかして生きていく方がずっと楽だ。しかし心の奥底にある、「これは嘘だ」というささやきを無視し続けることになる。
この映画は、そのような努力が最後には報われるという物語。だけど、報われないとしても、人は自分に嘘をつかずに生きるということでしか、本当の意味で生きたことにはならないのだと思う。
ところでエディのコーチ、ヒュー・ジャックマン演じるピアリーはマジかっこ良すぎる! タバコを吸いながらジャンプするシーンはホントしびれた。