「目指すの自己ベスト」イーグル・ジャンプ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
目指すの自己ベスト
「自分自身が納得できる最高のジャンプができたら、順位なんてどうでもいい。反対に、優勝したって、納得のいくジャンプじゃなければ、そんなのだめだ(思い出し引用)」
映画の中の鳥人の言葉。
それをそのまま地で行くようなエディ氏。自己ベストに歓喜する姿に、触発される観客。
スポーツをする・何かに挑戦し続ける楽しさを思い出させてくれる。
そんな部分を楽しめれば、この映画は最高のものとなる。
『クールランニング』と同じように、カルガリー・オリンピックでの事実を元にされた映画。おおまかな筋立ても似ている。
けれど、なぜか『クールランニング』のようにすっきりいかない。
事実を元にしているとはいえ、かなり脚色が多く、小気味よいエンターテイメントとなった『クールランニング』。
それに比して、こちらの映画はどこまで脚色が入っているのだろうか?
主人公・エディ氏は、エンディングで見る本物と比較すると、かなり似せてきている。それでいて、「運動音痴」には見えない。
そんなエディ氏に比して、コーチが格好良すぎる。
このアンバランスさになじめない。
純粋で思い込んだらどこまでものエディ氏を、コーチは御しきれていないので、二人の関係性が深まっていくエピソードも流されていく。コーチを引き受けることにした心変わりもあいまいだし、方針の違いによる別れ、再結成の動機づけも、さらっと描くだけなので、師弟愛を感じることもない。
師弟愛ではなく、「諦めないことの大切さ」を描きたかった?
だからか、エディ氏のオリンピックへの道のりに、陰湿な邪魔が入る。イギリスがなかなか「うん」と言わないのは予算の問題だけ?労働者階級出身者だからという点も見え隠れするが、深めない。
そして、なにより、練習と展開が無謀すぎる。
いきなりコーチなしでジャンプ台から飛ぶ。アルペンスキーのキャリアがあるとはいえ…。
「オリンピックは参加することに意義がある」とはいえ、一歩間違えれば、死んでしまうレベル。
この後、大会参加基準が変わったのもさもありなん。”安全”がベースであるからこそのスポーツ。ただの度胸試し大会ではない。
それでも、ラストはウォーケン氏や、エディ氏のパパとママが決めてくれる。
残念ながら「二匹目のドジョウはうまくいかなかった」作品に見えてしまう。
この映画で描きたかったことは、もっと別のものなんだろうけれど。