王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間のレビュー・感想・評価
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ある程度の予備知識は必須かと
朝鮮王朝21代の英祖と廃世子された思悼世子の葛藤をかなり史実に近い形で描かれていると評価されている作品。残念ながらある程度の予備知識がないと、父と息子の葛藤にしか映らない可能性がある。
英祖の生母はドラマ「トンイ」主人公。つまり最下層の身分の人が母親だというコンプレックスや王位争いなどが英祖の人格形成に大きな影響を与えている。そのため、自分の正妃とも先王の正妃とも円満でなく、最愛の後宮から生まれたのが思悼世子だ。しかも40歳を過ぎて生まれた男子なので、溺愛と過度な期待を注いでしまった。それがこの事件の遠因である。
個人的には、ストーリーや作品性を高く評価したいけれど、出演した俳優の中で役に合っていると感じた人は1人もいなかった。大妃役のキム・ヘスクくらいか。
この時の英祖は、朝鮮王朝の存続をかけて一大決心をしたのだと思う。親である前に王であった。そうするしかなかったのだと思う。
まさに『恨』。「礼節」と「人」の間のわかりあえない感情
なぜか涙が出てくる。
王という立場上、親としてよりも王としての愛情を注ぐ親。
王子という立場上、芸の才や生き様そのままを認めてもらえず、
王の愛を受け入れられずに自身がわからなくなり壊れていく子。
才があり、世の渡り方をも知りながら、父への孝情を忘れない孫。
親子の想いが通じ合わない辛さを感じさせる。
国の「礼節」と「人」のどちらに重きをおくか、
わかっていたとしても、
立場もあり王と子は受け入れ合えず強い憤りが起こる。
まさしく韓国でいわれる『恨』
誰のせいでもない、誰にもぶつけることのできない、悔しい感情。
父と子の解けなかった『恨』を解くかのような孫のラストシーンに、慰められる。
観終わったあとのナントもいえない、感情。
これが『恨』なのか。
韓国歴史映画大好き
韓国のドロドロした歴史映画は大好きです。
リアリティも少し感じつつ、韓国文化はやはり理解できないにしても、薄いオカルト映画を観るよりも韓国の血縁闘争である濃いドロドロ映画の方がずっと面白い。
人が人と関わることの重さを考えさせる
この映画は、単なる歴史ドラマを越え、我々の日常に明日にも起こり得る人間関係の悲しい「すれ違い」を凄まじい迫力で描き出している。親が子供を死なせる事件が頻発する現代、多くの人に見てほしい。
「イ・サン」や「トン・イ」などのテレビドラマを全く知らず韓国史の知識もない友人(男性)と鑑賞したが、私以上に感動し、「韓国映画にここまでできるとは!」と絶賛していた。
なお、この映画は、過去と現在が同時に描かれる構成で人物の地位や系図の説明も全くないままにドラマが進行するが、「イ・サン」を知らずに鑑賞した知人たちに尋ねると、内容はとてもよくわかったそうだ。
なんか韓国社会の縮図みたい…。
学歴と身分とみかけと…韓国が最も重要視するこれらを信条とする父親と、それよりも情を大切にしたい子供。それが王様と息子という立場からこんな切実な結末に。
よくよく考えると理解あえない父と息子の親子ゲンカなんだけど時代は謀反者はすぐ死罪の時代ですからね。
いまの時代ならパワハラ、幼児虐待、エトセトラな感じですが…。
誰もが自分がいなければこんな結末にはならなかった、と思うところが救いでしょうか。
王の運命
骨太の歴史大作映画。ここまで力をつけてきたか韓国映画、と邦画を振り返って愕然とさせられる。それぞれの立場に立った人間の心理を踏まえ、感情を描ききっている。不自然さはなく、説得力満点の脚本だった。韓流ドラマにありがちな、不自然な誇張演技もなく、むしろ感情を抑えた、迫力ある演技に喝采。祖父王、皇太子、孫息子と、三者三様のど迫力の演技が見もの。ハリウッドにも打って出られるレベル。
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