「映画というより、カラオケバラエティ番組を楽しむ感じ」SING シング Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
映画というより、カラオケバラエティ番組を楽しむ感じ
イルミネーション・スタジオのアニメというと、「ミニオンズ」(2010/13/15)や「ペット」(2016)に代表されるように、ターゲットは低年齢層にフォーカスされている。オトナの鑑賞に堪えないのは仕方ない。
動物キャラクター映画的には、パラマウント映画の「マダガスカル」シリーズとか、20世紀フォックスの「アイス・エイジ」シリーズね。多作のディズニーアニメの場合は、日本公開時に選別されているという背景もある。
本作は、ジュークボックス・ミュージカル(jukebox musical)の形式を採っている。映画のために書き下ろされた新曲ではなく、既存の楽曲を使ったミュージカル。ジュークボックス・ミュージカルは、ABBAの「マンマ・ミーア!」(2009)のように1アーティストをフューチャーしたものが多いが、本作は世界的なヒットチューンを並べている。
吹替で観るか、字幕で見るかで、悩まなければならないほど、2度観るのはつらい平凡なストーリー。つまるところ動物キャラクターの、"のど自慢"以外のなにもない・・・。ディズニー作品なら、全バージョン制覇するところだからね。字幕版で観てしまったので、吹替版はいいっか(笑)。
新作を書き下ろせないので、有名人に歌ってもらう、"のど自慢"設定にするというのは、なんとも短絡的だ。ヒット曲を使えば間違いない…というマーケティングは"手抜き"のようにも見える。
しかし、日テレ「THE夜もヒッパレ」(1995-2002)を原点とするカラオケ番組みたいなもので、誰が声優をやっているか、どんな大物アーティストが歌っているかを楽しむという意味はある。
字幕版は、ハリウッド俳優(の声!)をよく知る、字幕洋画ファン向けであるが、マシュー・マコノヒーやセス・マクファーレンの歌声聞いても別に楽しくない。ハリネズミ役のスカーレット・ヨハンソンの歌は、"へぇ~"と思う。吹替版では長澤まさみが演ってで比較するのは一考だ。ほかにも吹替版は、MISIAや大橋卓弥(スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)が歌っているのが話題。
また字幕版の楽しみは、きゃりーぱみゅぱみゅ(中田ヤスタカの曲)が3曲も、日本語歌詞のまま使われていることだ。吹替版では、他の曲と溶け込んでしまうかもしれない。本作はユニバーサル映画で、日本にはユニバーサルスタジオがあるのでいくぶんタイアップっぽいが、それでも感慨深い。
(2017/3/17 /ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ/字幕:石田泰子)