「プロ意識が低い監督が作った趣味の作品」少女椿 みちさんの映画レビュー(感想・評価)
プロ意識が低い監督が作った趣味の作品
予想を上回るがっかりでした。
とにかく雑。ただ止め絵で雰囲気のある写真を撮りたいだけなら、写真集を撮れば良かったのでは。
多感でまだものを知らない若者が、なんとなくサブカルな俺を気取ったり、女優を見てわーきれーかわいーと言うだけの映画です。
作品を見ても、トークイベントのお話を聞いても、この監督には映画を作る才能どころか、お話を組み立てて場面をまとめ、観客にストーリーや設定を伝えるという基本的な技術さえも無いのは間違いありません。
出演者とろくな会話も打ち合わせもせず、指示もスタッフ任せで、アドリブが合ったかどうかも把握していない。「後から人に聞いて驚きましたー」ですからね…。ほとんどご本人ではなくスタッフの力とお金を出してくれる人達の力で形となり、公開されている作品です。
監督という仕事がわかっておらず、責任感も無いので、内容も監督が趣味を詰め込んだだけのひとりよがりな自主制作映画です。
トークイベントで「日本が戦争で負けていなかったら、というパラレル設定」「色あせた写真しか見ていない皆さんにあの時代は極彩色だったんだよと伝えたい」というようなことを言っていましてが、映画本編からは微塵も伝わってきません。
原作がある作品なので、読者の大半は敗戦直後の見世物小屋だと思うでしょう。ですが衣装やメイクや髪型や建物がそうではないので違和感を感じる。裏設定が有るにしても、こだわりや統一感を感じない。なので視覚的なモヤモヤを感じる。そしてそのモヤモヤは最後まで晴らされることは有りません。
何の前知識もない初見だと、つなぎやストーリーが雑でわけがわからなかったようで、連れには「昔のカラオケの映像のようなものというか、MVのようなものいうか……」と言われました。
監督の話を聞いたあとは、敗戦していないならまだ戦争は続いているのか?勝ったならその衣装はなんだ?と設定の浅さも感じました。
プロ意識が低い監督の自主制作映画に、1000円以上払ってもいいと思えるかどうかがラインだと思います。
アートと言うにはお稚拙で、絵が好きな子供が描いたイラストレベル。親のコネ以外で賞を受賞することも、商業ラインに乗ることも無いレベルです。
監督では生活が出来ないからファッションブログを始めたそうですが、ファッションブログを始めなかった頃の評価が、正しく監督としての評価だと思いました。