「9年経っても内輪もめ、とはどういうことよ」ジェイソン・ボーン しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
9年経っても内輪もめ、とはどういうことよ
おっさんのオレにとって、アクション映画はただただ敵をぶち殺す映画であれば、何も問題なく、それプラス主人公がちょっとだけ陰のある存在であれば、十分感情移入できるのである。
そんなオレにとって、アクション映画の永遠のヒーローはジョン・ランボーであり、最高のアクション映画はランボー・シリーズである。
そんなオレがアクション映画の歴史を塗り替えたと言われる「くそめんどくさい手ブレアクション」の元祖であるボーン・シリーズのことなど、どうでもいいのだが、9年ぶりに復活、という。
しかし、今更CIAを悪者にするほど、時代遅れなことはしないだろうな、と思いつつも、どうも「やっぱりそうらしい」。
「ジェイソン・ボーン」
まずこのタイトルからして、「ランボー最後の戦場」の原題「JOHN RAMBO」「ロッキー・ザ・ファイナル」の「Rocky Balboa」を想起させる。
「ランボー怒りのアフガン」オマージュではないかというようなオープニング。そろそろアクション映画は80年代、90年代に限る、とようやく業界が認めたかのようなオープニングに、本来うれしくなるはずだが、どうもカッコ悪い、というか釈然としない。
そもそもボーンはなぜそんなことをやっている?
本作、終始、登場人物が「なぜそうする?」というような疑問が付きまとい、アクション映画に必要な「爽快感」は全くなく、内輪でうじうじうじうじと乳繰り合う展開。
おいおい、9年経ってもそれか。
とにかく登場人物がすべておかしい。一番おかしいのはボーンだが、アリシア・ビカンダーも、トミー・リー・ジョーンズも、ヴァンサン・カッセルも全く何をやっているのか。
自分で墓穴を掘って、自ら墓穴に顔を突っ込む。
役どころとしても、アリシア・ビカンダーは全く魅力なし。
話の展開はもっとひどい。
前半のアテネのシーンなんざ、丸々要らないシーンだし、さらに中盤の追跡劇も結局何だったの?というまるで意味のないもの。
最もひどいのは、ラストのカーチェイスで、警官殺しまくりのカッセルと、無駄にカーチェイスを繰り広げるデイモン。
この映画の中で、ストーリーや展開、サスペンス、何一つとして、映画的に緊張感を引っ張るものがない。
そろそろアクション映画も、容赦なく敵をぶち殺すものに回帰してほしいものである。