「良作ゾンビ映画の1本」ゾンビ・サファリパーク はなのおくがツンとすらさんの映画レビュー(感想・評価)
良作ゾンビ映画の1本
乱暴に言えばジュラシックパークの恐竜をゾンビに置き換えた話ではあるが、皮肉に満ちた展開やクライマックスの見せ方には光るものがあり鑑賞後の満足度は高い。
パークの真実が判明するくだりはなかなか良い。
パークの運営と同時に行っている難民支援が、実はパークのゾンビ補充だったところは、どんなことがあろうが利益を追求する人間のグロテスクさが良く出ている。また、その真実が段々と判明していく一連のシーンもスリリングで面白い。
その真実が判明した時、今まで屠ってきたものが数時間前までは生きていたことに気づき罪悪感や残酷さを覚える。しかし、運営当初のゾンビたちも元を辿れば人間だ。すでに死んだ者は殺しても良い、ましてや自分とは関係ないものであればなおさら、都合よく解釈することで罪は正当化されていく。そして、そこに利益が生まれれば倫理観はなくなっていく。
パーク内にゾンビたちを解き放ってしまう原因が世界に真実を伝えようとした者たちというのも皮肉的だ。正義とは時に他社を巻き込み暴走していく、誰かが傷つくまでそのことには気づかない。
ラスト、ゾンビ禍が繰り返されることを示唆し映画は幕を閉じる。結局のところ愚かな選択の果てには破滅しかないのだ。
この感想だと社会派ホラーのようにも感じるが、あくまでもエンタメホラーとして作られている。
特にクライマックスのパークへの総攻撃シーンは思わず手に汗握る出来となっている。無数のゾンビに追われながらミサイルの爆破をかいくぐり全力疾走する主人公。
なかなかの迫力とスリルのあるシーンだ。低予算ながら見せ場では手を抜かず、見ごたえのある場面を作っており好感が持てる。
手垢のついたゾンビものではあるが、独自の設定や見ごたえのある見せ場があり楽しめる。このジャンルにはハズレも多いが掘ってみるとこういった作品も出てくるのでやめられない。