「凄まじい生き様、素晴らしいライバル」聖の青春 ふまさんさんの映画レビュー(感想・評価)
凄まじい生き様、素晴らしいライバル
村山聖の生き様は、予備校講師の林修先生の番組でドキュメンタリー的に紹介されていたのを見たことがあるので、原作を読んでいなくても、その涙なしでは語れない人生の概要は知っていました。
本作は晩年の数年間に的を絞り、天才・羽生善治とのライバル関係を軸に描いたものです。
村山役の松山ケンイチは増量という難しい役作りに挑戦し、規格外の人格・言動の村山を鬼気迫る演技で演じきり、羽生役の東出昌大は羽生の癖を研究しつくしていて(羽生睨み!)、森先生役のリリー・フランキーもさすがの安定感。役者に関しては言うことがありません。
問題は脚本レベルの構成と監督ですかね。本作最大の名シーンである、村山と羽生の飲みのシーン。これを中盤に持ってきたために、終盤で回想的にリサイクルされますが、工夫もなく繰り返されると、せっかくの名シーンもくどさには勝てなくなる。90年代後半の雰囲気を出すために、ルーズソックスの女子高生の下校風景が挿入されますが、あれ必要ですか?もっとストレートに生き様を描くだけで名作になるのは間違いないのに、何か要らんことをしすぎな印象です。
秦基博のエンディング曲には肯定的な評価をしたいです。聞き取れた範囲では歌詞も内容に沿っていたので。
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