「ケンタッキーの映画ね!」僕らのごはんは明日で待ってる kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ケンタッキーの映画ね!
人が死ぬ小説ばかり読んで、授業中はたそがれている良太(中島裕翔)。暗いため、米袋ジャンプの相手を女子はみんな嫌がってたからといって、体育委員の上村小春(新木優子)がペアを買って出る。さらに家にあった小説をプレゼントするなどして、小春の方から付き合ってと告白するのだった。戸惑っていた良太。しかし、兄が死んでから何事にも消極的になり、人を好きになるのが怖かったという良太も、天真爛漫で積極的な小春に押し切られる形で、自然とお付き合いを始めた。
大学進学も考えてなかった良太だったが、小春のアドバイスによって大学に進学。短大に進んだ小春は保育士となり、良太も企業の内定通知をもらった頃、小春の方から一方的に別れを切り出してきたのだった。合コンに誘われ新たな彼女・鈴原えみり(美山加恋)ができるものの、兄の墓参りを続ける小春を見て、思いを断ち切ることが出来ず、えみりとも別れてしまう。復縁を願うも、小春は拒絶。しばらくして、小春が入院していることを知る良太であった。
棒読みともとられる早口でぺらぺらとユニークな会話をする小春のトーンがとても心地良い。ケンタッキーが好きだと言う彼女も本当は鶏肉が嫌いだとか、傍目で見ると不思議少女といった感じ。兄の死をずっと引きずっている良太にとって、両親がいないという家族愛に恵まれていない小春の明るさは天使のように輝いていたはずだ。
「家族を作るチャンスは2回ある」「私が泣いてるときは本当に弱ってるときだから助けにきてね」などと、印象に残る言葉もある。屋上にある望遠鏡で眺める姿も印象的で、笑える会話もかなりある。カーネルサンダース人形を持っていくのは反則技だが、これがあるからこそ良太に積極性が芽生えたとも感じられるシーン。しばらくすると、あ~ケンタッキーの映画ね!と思い出すこと間違いなし!