「破天荒だけど新境地!雷神ソー、覚醒のコメディアクション」マイティ・ソー バトルロイヤル アルタイルさんの映画レビュー(感想・評価)
破天荒だけど新境地!雷神ソー、覚醒のコメディアクション
『マイティ・ソー バトルロイヤル』は、それまでやや重厚でシリアスだったソーシリーズに大胆な転換をもたらした意欲作。タイカ・ワイティティ監督によるユーモアと色彩豊かなビジュアルセンスが爆発し、まるで別作品のような生き生きとした世界が広がっています。
ソー役のクリス・ヘムズワースは、従来の神々しいヒーロー像から一歩踏み出し、軽妙なボケとツッコミの応酬が似合う陽気なキャラクターへと変貌。彼の新たな魅力が全開で、見ているこちらも自然と笑みがこぼれるほど。短髪になったソーも新鮮で、戦闘スタイルまで変化しているのがまた面白い。
登場キャラも豪華かつ強烈。ヘラ(演:ケイト・ブランシェット)の圧倒的なヴィランとしての存在感や、グランドマスター(演:ジェフ・ゴールドブラム)のカオスな言動は印象深く、さらには久々登場のハルク、ヴァルキリーとの掛け合いも最高です。アスガルド崩壊という重大な展開を描きながらも、あくまで軽快なトーンを保っているのは絶妙なバランス感覚。
ただし、テンポの良さとギャグの多さが裏目に出て、感情的なシーンの重みがやや薄れてしまった点は評価が分かれるところ。特にソーとロキの関係性にもう一歩深堀りが欲しかったという声もあるでしょう。
とはいえ、シリーズの再生と進化という点では大成功。4.0という高評価にふさわしい、革新的でエンタメ性に富んだ一作です。「神の世界」と「コズミックなバトル」、そして「コメディ」の融合がここまでうまくいったのはMCUでも稀有な例。まさに“覚醒”したソーを堪能できる傑作です。