「.」スター・ウォーズ 最後のジェダイ 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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劇場にて鑑賞。CGI等を含め画面は申し分無く、シリーズへのリスペクトも散見出来た。キャスト陣にアジア系が目立つのは彼の国の影響か。今回の三部作は心身共に未熟からの成長がテーマなのか、それは銀河系にも及ぶ。世界観や設定は、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー('16)』に似た印象で、レジスタンス側、ファーストオーダー側、孰れにも内乱めいたのが登場し、一枚岩で無い混沌とした複雑な様が描かれている。それ故、一見様には少々ハードルが高くなっている反面、マニアにはウケが佳いかもしれない。65/100点。
・シリーズ最大の衝撃作と云う謳い文句は、少々判り辛いかもしれず、少しでも内容に触れるとネタバレに陥る。シリーズ初となる前作『フォースの覚醒('15)』直後から始まるが、前作からの続投陣では、“レイ”のD.リドリーの体格がふっくらして、少々印象が変わっている。加えてA.ドライバーの“カイロ・レン”は、未熟がやや影を潜め、フォースや剣捌きが格段に使える様になっている。何よりD.グリーソン演じる“ハックス”将軍が、大きな役割を担い、後半の表情等は次作以降への伏線であろう。
・ストーリー同様、混乱した世界感はキャラクター造形にも影響を及ぼし、B.デル・トロの“DJ”はその際たる者である。ラストの子供は次作への布石か、はたまた少しでも救いを入れたかったのか。
・当初、“DJ”役はJ.フェニックスの予定だったが、様々な要因でB.デル・トロになったと云う。亦、“オビ=ワン・ケノービ”役に興味を示したE.マクレガーの出演が検討されたと伝えられている。
・本作が遺作となった(撮影終了後の'16年12月27日逝去した)C.フィッシャーの“レイア・オーガナ”が出るシーンは全て使ったらしい。ラストのスタッフロール時、"In Loving Memory of Our Princess Carrie Fisher"とクレジットされている。ちなみに前作にも登場した“コニックス”中尉を演じたB.ラードは、C.フィッシャーの実の娘である。
・シリーズ通算八作目となるJ.ウィリアムズが、音楽として参加している。製作中の'16年8月13日、鬼籍に入ったK.ベイカーが不参加となる初めてのシリーズ作となった。彼の代わりにJ.ヴィーが“R2-D2”の遺志を引き継いだ。
・前作『フォースの覚醒('15)』で附けられたA.ドライバー演じる“カイロ・レン”の顔面の傷痕は、写りが悪かった等の理由で変更されている。本作で変更された傷痕の位置は皮肉にも『エピソード3/シスの復讐('05)』で、祖父に当たるH.クリステンセンの“アナキン・スカイウォーカー”の傷痕と同じ位置となった。
・レジスタンス達の乗るモン・カラマリ・スタークルーザーは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー('16)』に登場する“ラダス”提督にちなみ、“ラダス”と名付けられた。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー('16)』のG.エドワーズ監督は、レジスタンスの兵士としてカメオ出演している。
・製作は、'17年5月26日のリリースを目指し進められたが、前作『フォースの覚醒('15)』の好評を受け、'17年12月15日へと延期された。"Space Bear"との仮題で製作が進められたらしい。『エピソード2/クローンの攻撃('02)』の142分を抜き、本篇がシリーズ最長の152分となっているが、監督によると、当初は三時間を超えていたのをカットを重ね、絞り込んだと云う。
・オープニングのお約束、タイトルスクロールには"Episode Ⅷ"と表記されているが、本作から公式タイトルに『エピソード』の通しナンバーが外された。シリーズ第一作『スター・ウォーズ('77)』からの40周年記念作と位置付けられている。公開直前にデザインされたポスターは、シリーズきっての人気キャラクター“ダース・ベイダー”のマスクを意識したレイアウトがなされている。
・監督・脚本のR.ジョンソンは本作にインスパイアを与えた作品として、『頭上の敵機('49)』、『戦場にかける橋('57)』、『送られなかった手紙('59)』、『三匹の侍('64)』の四作を挙げている。
・T.ハーディやJ.セロー等、多数がカメオ出演を果たしたと云う。中でも英国のケンブリッジ公ウィリアム(ウィリアム・アーサー・フィリップ・ルイ)王子とハリー(ヘンリー・チャールズ・アルバート・デイヴィッド)王子の兄弟が、“ストームトルーパー”役でカメオ出演しているとの噂があった。ただ“フィン”を演じたJ.ボイエガによれば、二人の王子のシーンはカットされたらしい。
・鑑賞日:2017年12月16日(土)