「Twinkle, twinkle, little star, How I wonder what you are! イップマンvsダース・ベイダー、宇宙最強決定戦がまさかの実現か…!?」ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
Twinkle, twinkle, little star, How I wonder what you are! イップマンvsダース・ベイダー、宇宙最強決定戦がまさかの実現か…!?
全宇宙の支配を目論む銀河帝国と、それに対抗する反乱同盟軍の戦いを描くスペースオペラ『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフで、シリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977)の前日譚。
惑星を破壊するほどの威力を持つ宇宙要塞”デス・スター”の開発責任者ゲイレン・アーソは、その破壊方法を旧知の中である反乱ゲリラ、ソウ・ゲレラに伝えるため帝国軍パイロットのボーディーにメッセージを託す。
その情報をキャッチした反乱同盟軍は、ソウとコンタクトを取るためゲイレンの娘でソウとも深い関わりを持つ無法者ジン・アーソを説得。彼女と反乱軍の将校キャシアン・アンドー、そして元帝国軍ドロイドのK-2SOの3人は、ソウと会うために惑星ジェダへと向かう…。
主人公ジン・アーソを演じるのは『アメイジング・スパイダーマン2』『博士と彼女のセオリー』のフェリシティ・ジョーンズ。
フォースの流れを読むことが出来る盲目の僧侶、チアルート・イムウェを演じるのは『ブレイド2』や『イップ・マン』シリーズのドニー・イェン。
過激な反乱ゲリラを指揮する男、ソウ・ゲレラを演じるのは『パニック・ルーム』『メッセージ』の、レジェンド俳優フォレスト・ウィテカー。
ジンの父親であるデス・スターの開発者、ゲイレン・アーソを演じるのは『007/カジノ・ロワイヤル』『ドクター・ストレンジ』の、名優マッツ・ミケルセン。
オリジナル原案はジョージ・ルーカス。
第59回 ブルーリボン賞において、外国映画賞を受賞!
STAR
WARS
エピソード4
「新たなる希望」
〈時は内乱のさなか。凶悪な銀河帝国の支配に反乱軍は秘密基地から奇襲を仕掛け、帝国に対し初めて勝利を収めた。
更にその戦闘の合間に、反乱軍のスパイは帝国軍の究極兵器の設計図を盗み出すことに成功。それは”デス・スター”と呼ばれ惑星をも粉々にするパワーを持つ宇宙要塞基地だった。
凶悪な帝国軍に追われながらレイア姫は盗み出した設計図を手に故郷へと急いだ。人類を救い銀河に自由を取り戻すために…〉
はいここ!!
以上は伝説の幕開けとも言える『新たなる希望』のオープニング・クロールであるが、本作で描かれているのは正にこの部分。反乱軍のスパイが如何にして”デス・スター”の設計図を盗み出したのか、その秘密がついに明かされる。
この映画を一言で言うなら「エピソード4強化パッチ」。
ルークやハン・ソロの大活躍は、名もなき英雄たちが命を賭してチャンスを繋いだからこそのものだった。本来、時系列の穴埋めのような作品は好きではないのだが本作は例外。これが有るのと無いのとでは、壮大な物語の始まりとなったデス・スター攻略戦への気持ちの乗り方が全然変わってくる。本作を鑑賞する事で、『エピソード4』が10倍楽しめる筈!
本作と『エピソード4』はシームレスに繋がっているので、この2本をセットで鑑賞してみるというのもなかなかオツなもの。
驚くべきは本作の再現度の高さ。『エピソード4』との間には約40年のブランクがあるはずなのだが、この2つを続けて観ても全然違和感がないんですよね。もちろん映像技術は比べ物にならないくらい進化しているのだが、クリーチャーやドロイドなどのデザイン面において見事なまでに過去作を踏襲している。ガジェットや小物も全体的に70'sっぽいクラシカルなデザインで統一されており、旧三部作感満点。
伝統をキチンと継承し、それを守った上で独自の味を付け加えるといつ決して簡単ではないミッションを、本作は立派に達成してみせた。この事実だけで、本作は大成功であると言えるでしょう。わかってんなギャレス・エドワーズ!😊
確かに本作は『エピソード4』のブースターとしては申し分無い。ただ、裏を返せば本作単体ではなかなか評価しづらい、と言う事でもある。『エピソード4』があればこその映画であることは確かであり、本作のみで評価を考えると、正直それほど褒められた出来とは言えないと思う。
3幕構成という視点で本作を観ると、第1幕:ジェダ、第2幕:イードゥ、第3幕:スカリフということになる訳だが、これ第1幕と第2幕の内容が被ってない?第1幕は育ての父、第2幕は生みの父、という違いがあるだけで、目の前で父親を失うという悲劇が天丼のように繰り返される。これ1回ならいいけど2回はクドいっす。
思うに、この第1幕と第2幕って1つにくっつけることも可能だったんじゃないだろうか?直接ヤヴィン4にボーディーを降り立たせていれば、ソウ・ゲレラの件を丸々カットする事が出来たはず。そうすれば父の死が2回続くという不細工な作劇も避けられたのでは?
また、第3幕にも大きな問題があるように思う。
というのも、この設計図強奪作戦の中身があまりにも行き当たりばったりすぎる!!💦反乱同盟軍の人たちがノリとバイブスで動き出してくれたからなんとかなったものの、ローグ・ワン分隊だけだったら100%任務失敗してたよねこれ。
というか、結局反乱軍が動くんだったら「評議会の同意が得られないので軍を派遣できません…」というやりとりになんの意味があったの?最初から「よし!やってやりましょうぜ!」ってなノリで全軍一体となって動き出しゃいいじゃん。そうすれば必要性の感じない細々としたドラマをカット出来るし、何より作戦のグダグダ感を軽減することが出来ていたはず。あのバリア解除云々のところとかめちゃくちゃだったぞ😅
ローグ・ワン分隊全滅、というあまりにも辛すぎるエンディングは確かに涙を誘う。彼らの命を賭けたバトンリレーがあればこそ、デス・スター破壊という偉業を成し遂げることが出来た。そのことを思うだけで、『エピソード4』をもう一回見直したくなってきてしまう。
あのデス・スターの砲撃によるスカリフの崩壊と、晴れやかな表情で死を迎え入れるジンとキャシアン。このシーンは確かに悲しく、恐ろしく、そしてまた美しい。
…ただ、帝国はスカリフをぶっ壊して本当に良かったのだろうか?あの公文書保管タワーには他にも大切な文書が沢山しまってあったんじゃ?後々になってめちゃくちゃ困ることにならない?
と、色々と問題点を挙げてきましたが、ぶっちゃけそんなことはどうでもいいのです。
この1点。この1点が蔑ろにされていることに、私は大きな失望を覚えました。…それはドニー・イェンの扱いだ!!
ちょっと待ってくれよ。偉大なカンフーマスターを登場させておいて、あんな退場のさせ方はあり得ないだろっ〜〜!!😭
ドニー・イェン演じるチアルートさん。彼は一般人のレベルを遥かに超える戦闘力を有しており、体捌きだけで言えばおそらくダース・モールと同レベルかそれ以上。
カンフー、盲目、仕込み武器と、とにかく属性モリモリ。なんでこんな美味しいキャラが出てきたか。そりゃ当然、ダース・ベイダーとの一騎打ちがあるからでしょう!
設計図を受け取ったレイアの下に向かうベイダー。その前に立ち塞がる、我らがイップマン。フォースvsカンフー。夢の対決が今現実のものになる…!と思っていたのに、現実のものになりませんでした😢
色々問題も多い映画ではあるが、もしもドニーvsベイダーが実現していたらもうそれだけで全部チャラ。最高ーーっ!!フゥ〜〜!!なんて言いながら花丸を贈っていた事だろう。
まぁ、これは自分が『SW』ファンである以前にカンフー映画ファンだからこその感想であるとも思うんだけど、それぐらい夢を見させてくれてもいいじゃんねぇ。わかってねぇなギャレス・エドワーズ!😡
出来に関して文句も言って来たが、本編である『フォースの覚醒』(2015)と比べると、メインキャラクターもデザインも映像も、断然本作の方が好き。ジンやキャシアン、ドニー・イェンたちの冒険でトリロジー作ってくれれば良かったのに…、と鑑賞後しみじみと思ってしまったのであります。
※ターキン総督やレイラ姫の顔は、CGによる再現が試みられている。…うーん、どれだけ良く出来ていようとも、やはり人間の顔をCGで再現するというのはちょっと無理がある。不気味の谷現象とまでは言わないが、やはり違和感を覚えざるを得ない。
高い技術料と人件費を払って違和感バリバリの顔を作るぐらいなら、似た顔の役者に演じさせればいいのに。何でもかんでもCGに頼るってぇのは味がないと思うだけどねぇ。