「まるで欲望のデパートじゃぁ」華魂 幻影 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
まるで欲望のデパートじゃぁ
ピンク映画のクオリティというのも否めないが、これはこれで一ジャンルとしては成立していて、是非無くならないで欲しいジャンルである。アカデミー賞映画ばかりのまるでフランス料理並の食事だと胃に堪える。とはいえさっぱりなのも味気ない。ということはやはり珍味がないとということで本作品である。この手のジビエ料理的な映画、嫌いではない。なにせ、銀座シネパトスがあった頃はこんな作品、洋画邦画問わず常に配給されていたと思うのだが・・・ そういう意味ではほんとに寂しい時代になったものだと思う。
ストーリー的には映写技師(本当は監督)の忘れていたパラフィリアが、ラフレシアの花が出現することで徐々に思い起こさせ、そして罪の意識に苛まれるという内容である。その映写技師の勤める映画館の閉館日、集まったその館のファンや館長等もその花の出現で、隠していた性的欲求が解放され、場内は酒池肉林の地獄絵図と化す。映画技師の前に現われた謎の少女はその男が学生だった頃に出会った女だったのだ。レイプされているのに助けず、寧ろ自分の欲求を満たすためにその行為を始終覗き見、そして最後に殺されるところまで、あまつさえ絶頂を向える程の倒錯野郎なのである。
そんな倒錯の数々が延々と流れ、現代音楽のような甲高い音が耳に劈く。人間の欲望という欲望がグルグルと渦巻くシチュエーションである。とはいえ情念はそんなに織込んでいないので、それほどまでドロドロとしてはいないように感じ、後には引き摺らない。まるでハプニングバーのハード版のようなイメージである。
エンターティンメントとしてのこの手のジャンルは是非とも無くならないで欲しい。人間にはそういう性的倒錯が現実にあるのだから。。。