劇場公開日 2016年10月29日

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「鋭い文明批判。」彷徨える河 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5鋭い文明批判。

2016年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

 アマゾンの奥地にヤクルナという薬草(もしくは、麻薬?)を探しに、やって来たドイツ人の文化人類学者が主人公なのですが、最初の文化人類学者がやって来てから、数十年後、(どうやら、この時点でも第二次世界大戦の最中のようなのです。ポータブルのSPレコードの蓄音機を持ち歩いていました)別のドイツ人の文化人類学者が訪れます。すなわち、同じようなドイツ人の文化人類学者二人が主人公という、なかなか面白い構造になっているのです。
 当然のことながら、二人の文化人類学者と先住民族との間には様々な軋轢が生じます。生活習慣の違いから来る軋轢もさることながら、ヨーロッパから持ち込んだ科学、キリスト教の伝播についてもなかなか批判的に、この監督は描いていきます。特に象徴的なのが白人の宣教師が夜中に児童を裸にして虐待する、という場面です。
 高温多湿な映像空間で繰り広げられる時空を超えた、このドラマは、まず、日本では作り出すことのできないものです。それ故、もっと、多くの劇場で公開されて欲しいものです。
 とにかく、一見の価値はある映画です。「サウルの息子」と並んで、今年を代表する外国語映画になることは間違いないでしょう。

bashiba