「心と体が乖離した挙句、ムカつきながら泣いた」ぼくは明日、昨日のきみとデートする shoz_さんの映画レビュー(感想・評価)
心と体が乖離した挙句、ムカつきながら泣いた
今となっては150万部のベストセラーをいち早くピックアップし映画化の権利を取得するやいなや三木監督、吉田智子脚本、2013年に無茶苦茶ときめいていた福士蒼汰と渇き。で鮮烈デビューを果たした小松菜奈という布陣を固めた東宝Pにはあっぱれという思いを抱きつつ、「切なすぎる!」との前評判に「すぎるの使い方がなってねーんだよなー」と老害っぽく斜に構え、高校生向けデートムービーを仕方なく、くらいの気持ちで鑑賞に。
本編が始まると「やっぱりな。青臭い初恋モノじゃねーか。いい歳したおっさんが高校生に囲まれて日曜の朝から観る映画じゃねーな」という予定調和なガッカリ感と、小松菜奈演じる愛美からどことなく感じられる違和感とかミステリアスな雰囲気とかほとばしるファンタジー感から、少しだけ期待が高まるといういびつな心境に。
高寿の独白で大ネタが披露されると、「時をかける少女じゃん。君の名は。じゃん。もういい加減日本人は遠くに暮らす男女が時空を超えて惹かれ合う話から卒業しようぜ…」という落胆の気持ち、とは裏腹に、あらら、涙が溢れてきた。おじさん驚く。
小松菜奈も福士蒼汰も東出昌大も、とにかく、全員喋り過ぎ。DVDの特典についてくる、本編映像に監督や出演者が音声で説明を加えてるやつかよというくらい説明過多。セリフは原作に忠実なようだが(読んでない)、映画と小説の違いはそこに映像と声と音楽があることだろうと。音楽は良かったです。
高寿の家族と4人で食事をするシーンのお父さんの謎さに「お父さんも時空超えてたら最高だな…」という謎の期待を膨らますもそんなノイズは一切無く、すんなりと予定されたエンディングに向かっていく。家族で撮影する「写真」は一つキーポイントになっていて、時間の不可逆制や複製可能なところがいいエッセンスに。
僕自身未来日記を泣きながら見ていた頃からたいして成長してないので、最後の怒涛の愛美ラッシュでまた涙は出てきたけど、一方心は冷静というかツッコミどころ満載というか。
心と体をいびつなバランスにしてくれる珍しい映画でした。いいデートムービーなんじゃないですかね、来年になったら多分忘れてるけど。