「オタク以外だって楽しいはず…男の子向けSF映画の極致」レディ・プレイヤー1 ヨックモックさんの映画レビュー(感想・評価)
オタク以外だって楽しいはず…男の子向けSF映画の極致
才能もスキルもあるクリエイターに、潤沢な資金を惜しげも無くつぎ込んで、好きなものを作った結果でき上がった秀作。金を正しく蕩尽できているハリウッド映画の好例。
単純明快な足し算で作られた王道にして王者の気風漂う作品。男の子向けSFの極地。
誰もがいつかは憧れ、夢をみた…しかし夢ゆえにディティールが定まらないふわふわした妄想の世界を、グウの音も出ないほどカッコよく、徹底して細部まで磨き上げ具象化し遂げた映像は、ロジックで説明できるような要素を越えて男の子の心をぐわんぐわん揺するのだ。
のっけから数分のオアシスの描写はいわずもがな、ゲーム外の世界のデザインもブレラン攻殻的なサイバーパンクとフォールアウトの良いとこ取りをしつつ、我々の生きる現実世界と地続き感もある素晴らしい塩梅。ドローンが蠅のように飛び回る。
予想外の盛り上がりを見せたシーンはやはり「メカゴジラだ!」(BGMつき)であり「俺はガンダムで行く」だった。ほんとうに予告編を見なくて良かった!前情報でゴジラやガンダムが出ることを知っていたら、あのシーンのざわめきと興奮は間違いなく得られなかっただろうから。
聖なる手榴弾みたいな古典からオーバーウォッチのような最新のヒット作まで別け隔てることなく、媚を感じぬ嫌らしくない範囲で、それこそ数秒の演出でも無数に詰め込まれたオマージュは、もはや製作者たちの「好き」だけではない純然たる「敬意」を感じられる。これは日本のサブカルチャーが忘れてしまったものだ。この版権料だけでどれだけかかったことだろうか。
ゲームに限らず、コンテンツビジネスのクリエイターがぶつかるジレンマ。自分の理想、作品性と営利性の選択。
シャイニング体験装置死ぬほど楽しそうだ。ゲイリーオールドマンがいればまったく言うことなしだったんだが…。
パスワード付箋といい、アルバイトが社長室にほいほい入れたり、セキュリティザルすぎるでしょこの会社…。
日本におけるプロモーションの手法がとにかく気に食わない。
ポスターや予告編で、本来ならば見るまで秘されるべきガンダムやメカゴジラを大々的にネタバレしてるのも最悪だし、それをアピールしすぎて「この映画はオタク向けです!」と公言するような姿勢にも嫌悪感しか覚えない。クソが。