ダンケルクのレビュー・感想・評価
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IMAXとDolby Cinemaを体感するための作品
クリストファー・ノーランといえばIMAX。話題作「TENET」の前宣伝を兼ねて再上映されているので鑑賞。
ドイツ軍の包囲網からの命からがらの撤退戦なのに肝心のドイツ軍の姿が全く映らないという実録戦争映画としては奇抜で斬新な試みだが、代わって戦闘の緊迫感を音で伝えようとしているのが本作の特徴。
アカデミー賞で音響部門の賞を複数取っただけあって腹の底からズンズンと響いてくるような戦闘音などは、その辺のスペクタクル映画とは一線を画す。
映像的には、燃料が尽きたスピットファイアが黄昏時の海岸線をゆっくりと滑空している様が美しくて印象的だった。
終盤、帰還した兵士達に毛布を配っている盲目の老人が一人だけ顔に触れて自分の息子かどうかを確認していたシーンも「戦争とは何ぞや?」を問い掛ける、なかなか示唆に富んだ深いメッセージ。
キャストの中では、ボルトン中佐(ケネス・ブラナー)が切迫した場面でも常に大局観を見失わないリーダー然としていてカッコ良かった。
ただ、陸海空それぞれの作戦がごちゃごちゃになった展開は見づらいし、分かりにくいのがマイナスかな。
初IMAX
IMAXは、ノーランのキャンバス
初見は2017年にスウェーデンを旅行した時に、日本より早く上映していた現地の映画館で鑑賞して、それなりの好印象を受けていたが、普通な環境設備での鑑賞だったので、見逃していたIMAXレーザー版が、再公開されているので再見しました。
結論から先に言ってしまうと、「最高!」でした。(IMAX環境に限る)
それはフィルムに拘る映像作家クリストファー・ノーランの覚悟を感じたからである。
映像は全編に渡って素晴らしいが、特にラストのスピットファイヤの滑空が画面一杯に映される場面での映像の美しさは、映画史上に残る素晴らしさで最高!
戦争映画大作の定番だと複数のキャストと役柄のグランドホテル形式で描くのだが、登場人物の立ち位置を大まかに3組に分けて時間軸を交差させながら、同じシュチュエーションをそれぞれの目線で描く手法は、一見混乱し易いが、実はシンプルな反芻て成り立っている物語。
シンプルなのは、背景に現れていて、30万人規模の撤退作戦にしては、人や船や飛行機の数も明らかに少なくないが、緻密に配置してから画面構成をしているので、あまり気にならない。
以前からいわゆるCGやデジタル撮影に頼らないで、コントロールの難しいフィルム撮影にこだわってきたスタンスは、フィルム特有の色・質感などの再現性と独特の空気感スクリーンに映し出されている。
もちろん上映方式は、デジタルではなくデジタルデータに落とし込むのだが、IMAXレーザーの先鋭度に寄ってポジフィルムと遜色無い再現性があるのではと思う。
IMAX専用音響の強烈さも上々で、カチカチとアナログ時計の音で緊張感を煽る音楽と共に、銃弾や爆撃やか風切る航空機のエンジン音と臨場感が溢れ終始、緊張感を持続させる。
気になるところは、切り返しカットで特に人物の照明の光の方向や調子がチョイチョイと変わったり、色温度やカラーバランスに違いが見受けられる場面があるが、前者は、スケジュール都合によって生じるので仕方ないが、後者はプリントやデジタル変換時に補正可能だと思う。ただ監督のノーランはそれも含めてのフイルム撮影の特徴をスクリーンに刻みたいと思っているのかもしれない。
デジタル映画撮影についてのドキュメンタリー『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』でもノーランは、使える限りフイルム撮影に拘りたいと発言していた。逆に10才近く年上のデビッド・フィンチャーは、もうフイルム撮影に何もメリットがないと言っていたのとは対象的だった。
ともかく、今作はIMAX環境に限ると思うのは、映像と音響の効果が最大限に発揮できる環境を推奨している体感性の強い作品だから。
自宅でホームシアターを組んでも、映画館自体の広さも含めた物理的な理想空間は個人的では、とても再現が難しいと思う。
凄い迫力ある
何を目的としてつくられたものか、事前事後の考察が大事
この作品をノーラン監督がどのような意図で制作したのか、事前に、そして観賞後に考察することが必要では。そうしないと、何を観ているのか全く分からなくなる可能性がある。
内容は、英国がナチスドイツと戦うために大陸に派兵したが、ドイツに追いつめられダンケルクで孤立した約33万人の英仏兵を救出する実話をベースにしている。救出には多くの民間船が「出動」し多大な貢献をしたと伝えられている。
本作は、決して戦争翼賛の作品ではなく、かといって戦争反対のテーマ設定でもない。戦争という非常事態において、この救出作戦(ダイナモ作戦)を英国と英国民はどう捉えていたかを「救出現場」を通して描かれている。
同様な状況下に日本が置かれたとき、決死の覚悟で小型船をもって海を越えて自国兵を救出にいく市民がどれだけいるだろうか。
残念ながら皆無だろう(実際、太平洋戦争時にそのような話を聞いたことはない)。日本には政治や国防を、政治家や官僚、軍人任せではなく、市民が自分ごととして捉えることができる機会が歴史的になかった点は不幸なことだと思う。
自由や民主主義を自分たちの力で守ってきた欧州の歴史を理解せずに漠然と鑑賞すると、本作は戦争を肯定するかのような見方に陥ってしまう。海外の映画(特に歴史もの)を観るうえで、制作者の意図や制作国の文化や背景を理解することが大事だとあらためて感じる。
本作はまさにノーラン監督がいう、「体験」する映画。IMAXでこそ、その意味が十二分に理解できる。
「1917」では全編ワンカット(のように作られたもの)というイノベーティブな切り口を提示していたが、本作はTriptych(もとは三連祭壇画という意味)という三つの画がバラバラで進行し最終的に組み合わせていく手法で作られている。
半端ない臨場感、ビビりの方にはオススメ出来ません(笑)
独自視点の戦争映画
海岸で帰還を待つ夥しい数の英兵。
乗船に奔走する在英外国人。
作戦ダイナモに参加した何隻もの民間船のなかの一隻。
たった三機で制空を担うスピットファイア。
海の彼方を見つめ、佇む指揮官。
車両で桟橋を設営する残留部隊。
それらが、無作為のように入れ替わりながら描写される。
その背景には、メロディをなさない弦楽奏が反復している。
そして恢恢のシーナリー。
どこまでも拡がる海、海岸に並ぶ英軍の列、真っ青な空。
乱暴な言い方をすると、心象描写ぬきのテレンスマリックのような美しい構図が続く。
いうなれば、もっとも美しい戦争映画で展開される人間のドラマ。
圧倒的な緊張感。
白眉は、水平線に何十艘もの民間船(帆船・ヨット・はしけ・モータボート)が見えたとき。
What do you see?
Home!
スクリーン上のケネスブラナーと同時に目頭があつくなった。
独兵がひとりも出てこない。
帰還船・桟橋への爆撃や、爆撃機・戦闘機との空中戦はあるが、ドイツ軍の描写がまったくない。
完全に無かった。
この戦線で、憎々しいナチスを可視化しないのは異例ではなかろうか。映画には相手国への敵視が感じられない。
戦争だから、戦っている。
いたずらに英国を賛美してもいない。
きわめてフェアな戦争映画だと思った。
覚えているのは銃声
もはや、アトラクション。
臨場感抜群の佳作
映像が限りなく現実に近付いた作品でした
アカデミー賞では編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞されました。
ノミネートも多く上記の他に監督賞、作品賞、美術賞、撮影賞、作曲賞も含まれます。
とても綺麗な映像でした。
海や空、雲やその先までとても綺麗。
そして、その映像を更にクオリティを上げるが如くの音楽。
素晴らしいですね。
映像があまりにリアルなので、現実のように錯覚してしまうほどです。
物語は「陸」での1週間。「海」での1日。「空」での1時間をクロスオーバーさせて進んでいきます。
クリストファーノーランの得意の手法ですね。
セリフも多くなく、映像と音楽で観せていく本作は苦手な方も多いかもしれませんね。
僕はドーソン船長が救う謎の英国軍人など、ちょっとついていけないところもあり(そもそも戦争映画ってみんな同じ格好してたりするから出演者がいまいちわからなくなりませんか。いきなり新キャラ出てくると軽いパニックになったりします)映画についていくのにいっぱいいっぱいになったりするんですよね。
僕の理解力が低いだけだと思いますが。
地獄の黙示録やフルメタルジャケットで育った世代としては新しいスタイルの戦争映画についていくのはやっとでした。
とはいえ、映像、音楽が素晴らしく戦争映画として秀作だと思います。
僕が古い世代なので点数はやや辛口かもしれませんが。
戦争映画の本来あるべき姿
最初観た時「ノーラン作品だし期待してたけどなんかイマイチだなぁ。」と思った。
1回しか観て無かったらおそらく⭐︎3か3.5だろう。
しかし2回観た。
ノーランだからそんなはずない!と思い。
結果2回目はヤバイ!
何故か知らないがすごく感動した。
2回目だと兵士の表情がよく観れるからか戦争の残酷さがよく分かりおまけに観てらんなって涙腺がムズムズしてきたし。
映画は娯楽だ。
じゃあ戦争映画は娯楽か?
答えはYESだ。
我々は刺激を求めてお金を払い映画を観ているのだし。
じゃあ戦争は娯楽か?
答えはNOだ。
このダンケルクはどの戦争映画より最もリアルに戦争をリアルに描いている。
戦争が面白いはずない。
すなわちこの映画は面白くない。
だがこれはエンターテイメントとして。
戦争映画としてのこの映画は最高な仕上げになっている。
やっぱノーランスゲェー!
この映画は2回目を観て本質を理解できる傑作だ!
あのジャンポールはこの画面にはいなかった。
戦争はやめられない。阿片中毒者のようにDNAに染み込んでしまえば普通には戻れない。普通っていつたい何?!てことになっちまうけれど・・・・それは仕方がないことなんだ。諦めて次の楽しいことを探すしかないのだ。そう、決して一か所に留まってはならない。この映画で気に入ったことは主人公がいない。音楽がいい。血糊が出ないこと。戦場なんて見たくもない。プライベート・ライアン以上の戦闘シーンはもう作れないだろう。この監督はよく知っている。
戦場の指揮官の感情はどんなものなのか?すぐそこに見える国に40万人の兵士を返そうとする作戦は見事に失敗だったし、死んで行った者たちへ鎮魂歌は聞こえたけれど、今のいまにその尊い命への償いに値する世界になったのかを深く考えさせられた。
何もよくなっていない。まさかの悪くなっているのではないか・・・・
あのヒトラーによく似た人物が、よく似た手法で、世界を牛耳ろうとしている。
音楽が印象的
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