「タイトルなし(ネタバレ)」ダンケルク myshaさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
色調を抑えた映像が美しくシナリオが作り込まれており、大変面白くみた。
説明的な台詞は排除されている。映像から観客が読み取った情報のみで物語を理解するよう作られている。
そして誤った推察に迷い込ませるための抑制があちこちに仕込まれてい、しばらく観るうちに幾度も(あっあれは伏線だったのか)ともがく事になる。
再度見ると見落としたトラップへの理解が更に進み、くっそおうここでもやられてたのかああ 自分のばかー! と余計に口惜しくなる(嬉しい)。上質。
ドローン的恐怖など欠片も無い人的リソースに依存する(これぞ第二次世界大戦)な空中戦、海に落ちた戦闘機乗りを掬い上げた小船で差し出される熱い茶(琺瑯のマグ)、上手い事やって潜り込んだ引き揚げ船で振る舞われるもてなし(毛布・紅茶(琺瑯)・ べッ! べッ! とヘラか何かで乱暴にジャムを叩きつけたのであろうスライスパン(大量もあり少なめもあり仕上がり色々 (あれパン乾いちゃってバサバサなんだろうなあ、でも命に染みる美味しさなんだろうなあ))、なのに攻撃されてやっぱり沈む船(引き上げ兵乗船時には志願して乗り込んだのであろう女性たちが案内していた。だが沈んだ船から泳ぎ離脱できたのは運に恵まれ強健な肉体を持った男性兵士のみ。いやあのドレスじゃね…)、死の顎門から救われ本土を踏み故郷への帰還叶った兵士の、銃後の同胞民衆からの批判への恐怖、その弱さ。まあ当然プラスされる暖かい救い。
リアルで楽しい。