「臨場感、緊張感が凄い映画だが」ダンケルク ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
臨場感、緊張感が凄い映画だが
冒頭のシーンから緊張感の連続・・・、ただ、結局緊張感だけの映画で終わってしまった。海岸線での戦闘場面というと、どうしても「プライベート・ライアン」と比べてしまう。「プライベート・ライアン」では戦闘シーンは最初だけで、あとは内陸部の戦闘場面となっていくが、どこにいるかわからないライアンを探しだす面白さもあるが、戦友同士の友情が感動を与えた作品であった。
こちらは、特に山場というのがなく、さらに英国軍のえこひいき的な描き方に、英国人以外は見ていて感じが良くないと思う。そういえばノーラン監督はイギリス出身だったんだ。歴史的最高傑作「インターステラー」を作ったあとだけに、ちょっと息切れかな。
あと、主人公の会話が少なく、そのせいか最後まで感情移入できず、臨場感はすごかったものの我々は戦争を傍観者のようにただ見ている観客のようだった。
ただ、空中戦や船が沈むシーンの迫力はさすがにノーラン監督らしく、こだわりが感じられ、それだけでも見る価値は充分あるかもしれない。
あと、大作の割には映画音楽がイマイチの感あり。いい映画音楽だと何年たってもその音楽を聞くと、映画のシーンそのものが鮮明に蘇るが、この映画に関しては何年か経てば忘れてしまいそう(前期高齢者の私だけか?笑)。雑音か騒音ようなハンスジマーの音楽は、緊張感を高める意味ではピッタリかもしれないが、戦争映画であっても、「戦場のメリークリスマス」や「プラトーン」のような心にしみるような音楽が使われていたら、もっとよかったかな。