「主人公は観客」ダンケルク takaさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公は観客
ダンケルクから脱出しようとする連合軍兵士たちと
一緒に脱出を体験するような体感映画に感じた。
冒頭、静まり返った市街地。
仲間たちと歩く主人公は突如敵襲を受け1人に。
彼の家族構成や生い立ち、名前すら
何も説明もないまま救助船を待つ海岸に
他の連合軍兵士達と待機することに。
まさに観客はその状態になって見ることになる。
個として戦争に参加してる兵士は全体が解らない。
敵の姿も一切出ないし、連合軍の救助状況も不明瞭のまま。
仲間内のそうらしいという連絡の話で知るのみ。
あくまで視点を兵士のみにあわせているため
政治の上層部も一切出ない。
描き方としてはスピルバーグ監督の
『宇宙戦争』的な視線の描き方である。
そういった体感的な映画となっており、
何より監督のノーランは実写撮影に徹底する監督。
今より60年以上も前の当時の戦闘機を実際に
飛ばして、しかもカメラを機体に固定し
空からの視点の撮影もしてしまうほど。
英国戦闘機のスピットファイアの実録映像としても
非常に価値ある映画として記憶に残りそうだ。
当時の戦闘機マニアには感涙の映像だろう。
また戦争映画というと血みどろの殺伐したような
イメージもあるが、全くそんなことなく
極力人が死ぬシーンは映らない。
何より人が人を救うことに徹した映画なので、
人命の尊さ、生きようとする人間を助ける
慈愛を出した映画と捉えて見ることが出来た。
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