「ラストが勿体無い。」ダンケルク とっしー(*´ー`)さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストが勿体無い。
はじめに断っておくが、今回私はIMAXにて鑑賞した。
今作は同監督の「メメント」ほどではないが、時間軸が入り乱れていて、慣れていない人は混乱するかもしれないと感じた。
冒頭から気をぬく暇がほぼなく、クライマックスがどこかは観る人によって異なると思う。戦争映画としてはクローズアップしての人体破壊描写はなく、それ目当てで行くと、物足りなさを覚えるだろう。
洗練された音楽効果も相まって全体を通して閉塞感があり、兵士たちと同じ心境を味合わされる。それゆえ小型船団が到着するシーンでは、臭い泣かせ描写がなくとも自然と涙が溢れそうになった。この感動にはケネス・ブラナーの好演が一役買っていると思う。
さて、肝心のラストだが、少し駆け足で終わらせた感が否めなかった。「ラストとして描くことは描いたしこれでいいよね?」的な。これは作中でほとんど人物のバックグラウンドが語られなかったことに起因するものであると思われる。
バックグラウンドが語られなかったことで、テンポの良く、中だるみがなかったのでトレードオフといったところだろうか。
だが、ラストで帰ってきた兵士が毛布を配る老人に「よくやった。」と言われ、「ただ生き残っただけだ。」と返し、老人が「それで十分だ。」と言うシーンは安っぽさが溢れ出ていて激しい嫌悪を抱いた。
ラストのワンカットが非常に余計な物だったと個人的に強く思うが、これに関しては是非劇場でお確かめ頂きたい。
最後に、本作はIMAXで鑑賞するのとしないのとで、大きな差があるので、鑑賞に際しては前者をお勧めする。