「90分続く緊迫、その後に。」ダンケルク awahiraさんの映画レビュー(感想・評価)
90分続く緊迫、その後に。
歴史に残る撤退戦を淡々と描く。
幕が下がった後、劇場のあちこちから疲れた〜と声が漏れていた。無理もない。陸海空を完全に包囲された兵士と共にいたのだから。
追加料金を払いIMAXで鑑賞したが迫力が違い、その価値は十分にあった。まず音に感動した。銃撃や飛行機の爆音は勿論のこと、bgmとして時計の針を刻む音がずっと鳴っており、緊迫感を非常に高めてくれた。そしてそれが終わる時には…。逆説的だが、こんなにも無音が意味をなすとは。
戦争する人間達があまりにちっぽけに映る、海の美しさも印象的であった。
同年公開のハクソーリッジはヒーローを描く戦争映画であったが、本作では大衆を描いている。どちらを好むかは人次第、何を求めるかだろう。また、同じ大衆を描いていても、例えばシンゴジラは全員がヒーローであったのに対し、本作はヒーローばかりではない。人間の醜い所も十分に描き、それがリアリティを高めている。実際に彼らと同じ境遇に立った人がいたのだから。
大衆を描いているからこそ、特徴がなく、誰が誰だか途中でわからなくなってしまったところもあった。まぁ日本人なので…同じ服だし…笑。
淡々と描ききっているだけに、感情移入できなければ退屈かもしれない。ジェットコースターのような展開もなく、人を選ぶかも。ただ、是非1度、海を見に行って頂きたい。彼らが眠ったあの海を。
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