「登場人物に背景がない」ダンケルク はるさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物に背景がない
登場人物は、当たり前だが今の時代であれば大学に行くなりしてキラキラした若者なのであろう男前ばかりで、どういう気持ちで戦場に向かい、どういう戦場を生き抜いてきたのか書いていない。だからか、死んでいった顔を、救われた顔を、映画を見終わった今覚えていない。戦争とはそういうものなのか。
船で死んだ若者は新聞に乗った。彼は英雄だ。でもあのフランス人はあんなに他国の若者を救ったのに海底に沈んでしまった。顔を見ないまま毛布をくれたと言った若者も、顔を触られて目が見えないと知っていた若者も同じ電車に乗って故郷へ帰る。その若者が戦場に行く前はそんな人ではなかったかもしれないが、それは分からない。
誰が英雄か、勝ったものが英雄か。勝つとはなんなのか。国が勝っても、英雄になるの一人の人間だ。生き残れば勝利だという言葉は日本人だけには別の捉え方があるだろうと思った。だからこそ多くの日本人が見るべきかもしれない。
クリストファーノーランは実話を本当にそのまま映画に落としこんだ。実話といっても有名な俳優を主人公にすればドラマになってしまうところをそうせずに。だからこそ本当にリアルで、これから考えることが山ほどありそう。
エンドロール中、これCGゴリゴリ使ってんだろうなぁ……海のとことか……あれ、そういえばクリストファーノーランか。……え?本物?うそだぁ……ってなりました。あとから調べたら本物みたいですね。すご……すごいです。