「"画"だけの映画ではない」ダンケルク yosif35さんの映画レビュー(感想・評価)
"画"だけの映画ではない
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巷ではレーザーIMAXでないと云々というのをよく眼にしますが、私は画角だけの映画ではないと思います。
個人的にこの映画は"音"の映画、それも劇伴以外のところにとても惹きつけられました。
大空を切り裂いて襲いかかるドイツ軍機のあの音。劇中現れるスツーカと呼ばれる攻撃機は、翼が生み出す独特なサイレンのような唸り声と共に破壊をもたらす悪魔のような存在でした。そんな悪魔の唸り声と当たりもしないライフルの銃声を比べた時の絶望感たるや。
また後半、乗り込んだ商船に向けてドイツ軍から放たれた銃弾が穴を穿つあの「バキン!バキン!」という音は、自分たちが無力にも死の淵へ着実に追いつめられる恐怖の足音として聞こえました。
一方で彼ら兵士を救いに行く船たちにとっては大空に轟くロールスロイスのエンジン音は非常に頼もしい存在として劇場に響くのです。
今作ではあまり直接的な死亡描写は少ないです。しかし夥しい数の死体が映ります。あの爆音や銃声がする度、次の瞬間には自分が力無く横たわる死体になるかも知れないといった恐怖の迫り方に私は好感を得ました。
p.s.
にしてもトム・ハーディが良いですね。自分の燃料と敵機を見比べ、そして決断するまでのあの眼。あの眼はとてもセクシーでなおかつ気高い。マッドマックスやバットマンでいつもマスクを着けていたせいなのかは知りませんがあの眼は良いもんですなー。
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